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正義を運用する [よしなしごと]

福耳先生の「正義商品」としての「障害」と云うエントリを少し前に読んで、でもってどうにもなんだか投げかけられている問いを消化できなくて、みたいな感じが続いていて。
エントリの主旨とは違う話になるけれど、多分ひとつ云えるんだろうと思うのは、善と云う概念をコントロールできて、任意にその場の「空気」に適用する技術があれば、すごく儲かるんだろうな、ってこと。

そうするために手っ取り早いのは、おそらくコントロールしやすい「善の基準」のようなものを準備することだろう。ターゲット層にアクションを起こさせる(消費させる)にあたって、悩んだり考えこんだりしなくてもすむような、分かりやすい基準。

「愛と感謝はすばらしいことでしょう? そう思わないんですかあなたは」
「科学的にも証明されてるから真理なんですよ。この結晶の美しさが分かりませんか」
「非科学的だって? いや、大事なのは科学的かどうかじゃないでしょ」
「現代の科学万能の風潮に毒されて、あなたは感じることを忘れてるんじゃないですか」
「ごちゃごちゃ考えないで、いい話でしょ。あなたにはわからないんですか」

実に便利だ。うまく使えば金だって儲かるだろうし、ひとだって殺せるだろう。
タグ:社会科学
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ちがやまる

乗り物で高齢の方に席を代わるとき、さりげなく立てない若者が多いみたいで、その多くは単にじぶん自身の体が立てないくらいつらいというのではなさそうです。座席を代わることが、善とか厚意とかの形で差し出す自分の裁量権でしかないと思っているのでしょう。でも、体力能力によって共同体の席を分け合うという原理も見えないかたちで社会に存在するから世の中がうまくいくという面もある。若者が席を代わるのは善意とか厚意とかじゃなくて義務と考えてみたら、と言ってみたことはあったのですが。
by ちがやまる (2008-02-29 06:41) 

pooh

> ちがやまるさん

お年寄りに席を譲ることは、長期的には経済的に見て合理的な行動だと思うんですよ(誰でも歳はとるわけだし)。でも、そこにはお金のような明解な指標がないわけです。自分の行動を自分で判断しなきゃいけない。
そこで、考えなくてもいい簡単な、まぁ指標のようなものを提示してこの「立てない若者」のようなひとたちを制御できれば、これって儲かるなぁ、とか思ったんですね。ロハス商売もこのパターンだと思っていて、このことについては長いこと書こうと思って書けてないんですが。

このへん、福耳先生に触発されて以前から散発的に考えたりしてるんですよね。具体的にはこれらのエントリあたりですけど。

http://schutsengel.blog.so-net.ne.jp/2007-01-05
http://schutsengel.blog.so-net.ne.jp/2007-01-07-3
http://schutsengel.blog.so-net.ne.jp/2007-11-18-1
by pooh (2008-02-29 07:49) 

福耳

そういえばこんな以前から、「正義商品」論につながることを考えていたなあ、と思い出しました。新年度のバイトに関わることになったのも、この辺の話題のつながりではあるのですが。
で、少し調べてみて、実はもうかなりげんなりしているところがあります。あと三ヶ月もしたらブログで泣き言をいっていることと思います。
by 福耳 (2008-02-29 14:46) 

pooh

> 福耳さん

最初にぼくがトラックバックを送らせていただいてから、もう1年以上経つんですねぇ(今回は話があまりにも横道なので、トラックバックは遠慮させていただきました)。でもこの辺りへの目配りって、「社会のなかの経営学」をお考えの福耳さんには欠かせないような気もしていたり。
まぁぼくはぼくで、いつもいただいた示唆を得手勝手に料理させていただいているだけなんですが。もうずっと。
by pooh (2008-02-29 22:34) 

福耳

ご無沙汰しておりました。久しぶりに自分のコメントを読み返して、当たっていましたね。泣き言どころではない状態です。

「善悪もあなたの代わりに考えて教えて上げましょう」という商売は当たるでしょうが、善悪の品質管理とか、考えたいところですね。CSRとか、まだ、ツールとして未整備だとは思いますが。なんかもう、やけになって言いたいことを言っていますが。
by 福耳 (2008-07-15 23:14) 

pooh

> 福耳さん

いや、拝読してはいたんですが。でもまぁ失礼ながら、学問的にいやおうなく他の領域にまたがってしまうような方向で発想するのが福耳先生、と云うふうにぼくなんか思っているので。そう云うあたり、はてなーのみなさんのリアクションの良さにもつながっているかと。

> 善悪の品質管理

これですねぇ、うっかりするともうそう云う話になってしまうんですよねぇ。ニセ科学商品の場合、「科学的に証明された」と云う売り方そのものが「科学による品質保証」をうたうことになっている、と云う構造ですね。
by pooh (2008-07-16 07:45) 

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