英雄 [ひと/本]
なんと云うか、どうしても英雄に惹かれるような心理がある。
エルネスト・“チェ”・ゲバラの魅力の相当部分は、その極めつけにハンサムな容貌にある、と思う。それでも、その生き方のとてつもない美しさに、少なくともぼくはどうしても惹き付けられる。
随分と欠点だらけで、でもその欠点までが彼の壮絶な魅力に繋がる。
本当のところは分からない。でも、彼の持つ物語は、ひとと云うものがこうあることができたら、と云うような憧れを掻き立てる。それは一面、危険なことではあるのだけれど。
チェは自分の持つすべての美しさを持ったまま、武骨に世を去って、そして(本人がそう望んだとは思わないけれど)アイコンになった。でも、彼の(本当に伍すべき)相棒は生きたまま、そして偶像化を強く拒んだまま、もう少し薄汚れたアイコンとして世を去ろうとしている。
ぼくたちはほんとうは、こんな連中に憧れるべきではないと思う。その危うさを、全力で意識し続けるようぼくたちは努めるべきだ。
それでも、美しさを、靭さを求めてやまない愚かさも、ぼくたちの本質なんだろうけれど。
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