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分担 [世間]

小川創生さんの「発掘『捏造』!あるある大事典II」と遺跡発掘捏造との共通性と云うエントリで、「マスコミと商業主義の不健全な結びつき」について論じておられる。

なんと云うか、ぼくもこのあたりとかこのあたりで、マスコミが本質的に既に公器であり得ない理由みたいなものを書いた。でも、ほんとうのところは、すべての矜持をまだ失っていないと信じたい。そうでないと、マスメディアに関わる人間は自覚的に「一億三千万総白痴化」を自分たちの利益のためだけに推進している連中と云うことになる。そんな人間が堂々と太陽の下を歩けるなんて、世の中は終わりだ(あ、だから連中は夜型なのか)。

それはそれとして、深い示唆のある言葉があった。

もしかしたら私自身にも、自分の職業上の得意な分野で、何らかの責任が生まれてしまうことがあるのかもしれない。昔は発言自体不可能だったが、今ならインターネットという手段がある。そうした状況であることを自覚した上で、あふれかえる情報に接していかなければならない。

そう、出来ること、すべきだと感じることはすべきなのだ、と思う。それが、この社会を構成する人間の本源的な責務であるはずだ。たとえそれが蟷螂の斧に過ぎなくても。


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コメント 4

柘植

こんにちは、pooh さん。
 
なんだか、下のエントリーの続きみたいになってしまうのだけど、私自身、すこし真剣に「ニセ科学などを押さえ込むためのきちんとした社会システム」という事を真面目に考え始めています。人間の仕様かどうかは別にしても、数十年かかってできあがった思考様式や行動様式はやはりそれが払拭されるのに数十年はかかるわけで、今のニセ科学批判者集団では「やがて疲れて消える」としか思えないのでね。
 
実は産総研でニセ科学批判講演会をやったときにも、ほんの一部の人だけど「案外、こういうのって産総研のミッションかもしれない」なんて言い出す人もいたのね。産業全てに渡っていろいろなサポートするのが私の仕事場のミッションなら、産業を損なうニセ科学の蔓延に対処するのもミッションのうちと言えなくもないわけです。ただ、まあ、これにはあまり期待していないのですけどね。「東大とかのデータ捏造」に関して我々も全て「研究者倫理研修」を受けさせられたのだけど、その時、担当の理事に「研究者がニセ科学に巻き込まれ無い様に、あるいは巻き込まれた時の対処システムも構築すべきだ」と噛みついた程度なのね。私の望みとしては、内部の研究者向けに「こういうニセ科学があるから、相談や共同研究等では気を付けろ」みたいな情報流通を組織的にしてくれて、それが外部にリークで出てくれないかなみたいな意識はあるけどね。

私が漠然と構想しているのは、様々な学会で「ニセ科学の蔓延は問題だ」という意識を高めて、そして学会間の連絡組織みたいなものができないかな、といった意識があります。そして、常にそのニセ科学に対して最も専門的な「おかしい」が発せられる様なイメージですね。個人では「手に負えない」面も大きいのです。
by 柘植 (2007-02-06 14:38) 

pooh

> 柘植さん

実際のところ、個人の力の及ぶ範囲でどうにかなるものなのか、と云うとまぁあれなんですけどね。でも、どうにかなる時代なのかも知れませんし、だからあれこれやる訳ですけれど。

横断的な、そして総アカデミズム的な連携が出来ればなぁ、と云う夢想はぼくもしています。でも、その部分についての貢献をする手だては、ぼくにはいっさいないんですよね。
by pooh (2007-02-06 22:22) 

小川創生

トラックバックどうもありがとうございます。
引用いただいた文言については、少々青臭いかなとも思いつつ書いていたのですが、賛同のお言葉を頂き、素直にうれしく思います。
分かる範囲、できる範囲で、社会 (必ずしも国家ではない) の一員としてリスクをとる姿勢は、やっぱり重要ですよね。
by 小川創生 (2007-02-08 07:35) 

pooh

> 小川創生さま

いらっしゃいませ。

いろいろ云われながら、個々人ができ得ることはそれでも広がっているのだと思います。でき得ることが広がるということは、責任とリスクを持って取れる行動も広がっているのだと思います。
だとすれば、無力感に伴う気楽なシニシズムに浸ることはよいことではないんだろうな、なんてことも感じたりするのですよ。
by pooh (2007-02-08 07:42) 

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