SSブログ

経営上の選択 [よしなしごと]

船井総合研究所で医療機関経営のコンサルティングを担当されているらしい藤原慎一郎さんの花開く時と云うエントリを読んだ。

あるクライアント様の業績が好調だ。

今月の昨年対比は1700%になる。

これは三年以上前から、習得に力を入れていたホメオパシーなどの治療が一定の成果をあげ認識された結果である。

当初、これほど経営に対して効果があるとは予測しなかった。
ここで藤原氏が言及しているクライアントは、おそらく通常医療と代替医療を組み合わせる、いわゆる統合医療、と云うようなアプローチを採用しているんだろうな、と推測できる。

統合医療の導入によってより品質の高い医療行為が提供できるのか、あるいは導入した代替医療が単体で収益に貢献するのか、と云う論点は措いて。通常の医療機関でホメオパシーその他の代替医療を並行して取り扱うことには、医療機関の経営と云う観点から見れば意味がある、と云うことなんだろう。これは例えば、助産院や接骨院にも比較的容易に応用できる経営戦略でもあるのだろうな。

そこに「より自然な医療を」と云うような患者側のロハス的ニーズへの対応、「波動」や「本物」によってより高水準な医療が提供できる可能性の留保、みたいなものを付け加えれば、その経営戦略を採用する側の(つまりは経営コンサルティングを依頼する医療機関側の)職業上の倫理観に基づく抵抗感みたいなものをクリアするためのみちすじも準備できるわけで、そう云う意味ではよく練られている、と云う評価も可能かと思う。

個人的にはひとつ、ピースが埋まったような感覚。資本主義。
nice!(0)  コメント(8)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 8

OSATO

え~と、リンク先が404でした。
正しくはこちらですね。↓
http://ameblo.jp/funaisoken-medical/entry-10406115525.html
by OSATO (2009-12-09 00:28) 

pooh

> OSATOさん

ご指摘ありがとうございます。タグの打ち損じでした。
アメブロとLivedoorの両方で同内容のブログが運用されているようですね。
by pooh (2009-12-09 07:28) 

黒猫亭

これは単なるイチャモンなのかもしれませんが、ちょっとリンク先の記事のセンスを気持ち悪く感じてしまいます。

多分これは表現的な問題なんだと思うんですが、一般的に「花開く」と謂う場合に想定されているのは、もっと美的な感覚だと思うんです。たとえば芸能や芸術の分野で才能が開花するとか世に見出されるとか。

でも、この記事では「昨年対比1700%」と謂う、ちょっと常識外れのボロ儲けをして「花開く」と表現しているわけで、些末な問題ですがこれを「実を結ぶ」と表現していたらそんなに気持ち悪くなかったと思います。お金が儲かることは悪いことではないですが、それを「花」と表現することで、どう謂うふうに儲けるかと謂う部分について美的なセンスが関わってきます。

それはつまり、経営戦略上の思惑で医療機関がホメオパシーを導入して、それが世間の風向き次第で「昨年対比1700%」の業績向上に繋がることがあんまり美しいことだと感じないと謂うことでもあるんですが。これ、要するに農業の分野で「無農薬・有機農法」を謳って成功するのと同じことで、筋論的に考えるとあんまり美しいことじゃないでしょう。

また、この文脈だと、信念を持って取り組んだことがようやく世に認められて業績向上と謂う実利に繋がった、と謂うロジックが想定されていますけれど、それは違うんじゃないかとも思います。

これって結局、娑婆の風向きを読んだ付加価値商売の先行投資が、予想以上のボロ儲けに繋がったウハウハな成功談と謂う以上のものではないでしょう。それを「信念」と表現するのもどうかな、と思います。少なくとも医療上の信念じゃないですし、そうだとすればそれは間違っているし、その信念が報われることでプルーフされたわけでもないですよね。
by 黒猫亭 (2009-12-11 06:34) 

pooh

> 黒猫亭さん

まぁこれ、一定水準は感受性の問題だとは思うんですけどね。
このへんについての基本的な感覚はぼくも黒猫亭さんと共用している感じなんですが、世間にはとうてい適切とは思えない対象に向けて芸術的・倫理的評価を適用するひともいるわけなので。

ただ、数字に表せる経済的成果とそう云う観点からの価値観をくっつける(ぼくとしては「混同する」と云う言い回しを使いたいところですが)ような世界観が、言及先の雇用主の思考パターンの核心にある、と云うのはありそうに思います。
by pooh (2009-12-11 07:38) 

PseuDoctor

こんにちは。

>個人的にはひとつ、ピースが埋まったような感覚。資本主義。
そうですね。最近よく「医業経営」なんて言葉を聞きます。
「医業」なんですよね。「業としての医」。

で、資本主義だからっていうのは勿論なんだけど、個人的には「仕事から得られる精神的な充足感が薄れると経済的満足に走る」っていう要素も大きい様に思います。
医者だけじゃなくて、公務員や政治家を見ててもそう感じます。

その一方では、精神的な充足感を与えると称して金をふんだくる奴らがいるからややこしい。
と言うか「与えるのは精神的な充足感だけ」と明示しているなら良いのですが、殆どの場合、そこが「看板に偽りあり」なんですよね。

あと「昨年対比は1700%」の部分。
普通に考えれば凄い数字だけど、ちょっと意地悪に考えれば「医業外収益の昨年対比」、もう少し好意的に取っても「保険外収入の昨年対比」ではないかと思います。
要するに、元々の数字が少なかったから伸びしろが大きかったのだろうと。
by PseuDoctor (2009-12-12 11:49) 

pooh

> PseuDoctorさん

> 仕事から得られる精神的な充足感が薄れると経済的満足に走る

まぁ、このことはありうるでしょうね。精神的満足と経済的満足がリニアに伸びていけば理想的なんでしょうが(で、どのへんがリニアなのか、については個々人の性向によるのでしょうけど)なかなかそうはいかない。
医師の仕事を通じた精神的満足感がどのへんに由来するのか、は想像するしかないんですけど(とは云え想像はそれほど難しくないんですが)その充足が得づらくなったり、そもそもそれ以前に立ちゆかなくなったり、と云うような状況は、けっこうあるのかもしれません。

> 精神的な充足感を与えると称して金をふんだくる奴らがいる

じっさいにはその「精神的な充足感」はそれだけでは商売にならなくて、たいていの場合なんらかの現世利益に対する示唆と組になってるのが実情のように思えます。水伝やEMのように。

> 「医業外収益の昨年対比」、もう少し好意的に取っても「保険外収入の昨年対比」

医療機関の会計についてはまったく知識がないので(分析の経験どころか、財務諸表を一度も見たことがない)わからないですけどね。おっしゃるように「元々の数字が少なかったから伸びしろが大きかった」部分の数字だろうなぁ、と想像します。
by pooh (2009-12-12 22:03) 

技術開発者

こんにちは、 pooh さん。サミュエルソン先生の訃報で多少落ちこんでいる技術開発者です。

なんていうかな、経営論を考えるときは「業績の伸び」だけじゃなくて「業績の持続性」というのも重視すべきなんですね。堺屋太一が利益に対して「利益質」という概念を導入して、「外延性」「継続性」「公正性」なんかを反映した「利益質係数」を求め、利益=期間内利潤×利益質係数」なんてのを入れるべきだなんて言っているけどね。

そういう意味で、この話の利益質係数を求めて見るのも良いかも知れませんね。

by 技術開発者 (2009-12-15 08:34) 

pooh

> 技術開発者さん

経済学のテキストがドーンブッシュとフィッシャーの原書だったのでどうもマクロの知識が怪しいpoohです。

「利益質」と云う用語を知らなかったので、ちょっと確認しました。

こう、ニセ科学のビジネス上の収支、みたいなのを考えていて。ニセ科学はぜんぶビジネスで裏がある、みたいな決め付けじゃなくて、やっぱりそれを成立させるための収支計算ってのはあるはずじゃないですか(儲かるとかどうとか云う意味じゃなくて、ビジネス的な環境のなかで場所を持っている必要はありますよね)。そのへんってどうなのかな、みたいな。

で、このエントリに書いたような角度から見ると、一見それだけでは収支の合いそうにない「水からの伝言」みたいなタイプのニセ科学にしても、結果的には関連するビジネスに外延性を提供する、みたいな役割は担えるんだなぁ、みたいに思ったんですね。
もちろんそれは単体では無理で、それを成立させるビジネス的エコシステムみたいなものが必要なわけですけど、どうやらその構造もちゃんとあるっぽい。受け手側ではなくて提供する側にもまま見られる「トンデモの連鎖」みたいなのは、ちゃんとモデルとしてできあがっているものでもあるんだなぁ、みたいなお話でした。
by pooh (2009-12-15 21:49) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

関連記事ほか

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。