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まずは、有効な場所から [よしなしごと]

wackyhopeさんの科学コミュニケーションをマーケティング視点で考える。と云うエントリを読んだ。示唆に富む労作。

とは云えまぁぼくとwackyhopeさんはどうも以前から考え方が細かいところでぶつかる傾向があるみたいで、以前にはそう云うあたりからしなくてもいいもめごとになりそうになったこともあったような。このエントリにもそのまま首肯するのはむずかしい内容もあるんだけど、ちょっとディテイルにていねいに反論する余裕が(いろんな意味で)ないので、そこはそことしてもらって。
これらシェアを目標とする際には、何を母数にするかが重要になります。つまり、先に述べたSTPの設定が鍵になります。逆に言うと、シェアを高めやすいようSTPを設定するという発想もできます。対象を幅広く想定し過ぎて、労多くして成果を感じられず疲弊してしまうのではなく、マインドシェアやハートシェアを得やすい人たちをまずは対象として着実に成果を挙げていき、徐々に対象を拡大する。そういう考えを持つことも、非営利的で個人主体の活動が多い現在の科学コミュニケーションでは有用かもしれません。
これはとても大事な部分だと思うし、有用な発想だと思う。科学コミュニケーションをおこなうのはニセ科学を論じるのとは違うので、そう云う発想も許してもらえるのかもしれないし、だとすれば疲弊してしまう前にそのあたりを割り切るのは重要なんだろうな、みたいに感じたりもする。
まずは、伝わるところから。これってたぶんコミュニケーションの原則なんだろうな。そして、なによりもまずそれを着実にできるスキルが(あまりよくばることはできないけど)最初に必要なのかも、みたいにも思う。
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技術開発者

こんにちは、poohさん。

>対象を幅広く想定し過ぎて、労多くして成果を感じられず疲弊してしまうのではなく、マインドシェアやハートシェアを得やすい人たちをまずは対象として着実に成果を挙げていき、徐々に対象を拡大する。

kikulogkの方で「経済ニュース」を例に挙げて、この対象を絞った情報伝達の話を書いてから、ずっと考えています。なんていうか、今回の原発事故のマスコミの報道が「広く一般に伝える」に均質化して画一化してしまったために、逆に或る程度知識のある層に必要な情報が行き渡らずに、そのレベルの人が情報アンプみたいに働かなかった気がするんですね。例えば「外部電源喪失、非常用発電機も動かず」は情報として流れてきたけど、非常用発電機の被害の程度は全く報道されなかった訳です。私なんかは「直流電源系で8時間は耐えられる」という知識を持っているために、非常用電源が8時間以内に修理出来るかどうかを気にしたのだけど、それを質問して報道してくれるマスコミはなかった訳です。まあ現実には1号炉は直流電源による冷却もできなかったし、非常用発電機は修理で動かせる状態でも無かった訳ですけどね。でも、非常用発電機の状態もわからないから、「どうなるの」と周りから聞かれても答えようが無いわけですね。

なんていうか、東京12ch系列になると思うけど、朝早くからやっている経済ニュース(「モーニングサテライト」だっけ)なんかを見ると、基本的に対象を割り切っていると思うんですね。為替や株の変動を毎日報道して、米国の失業率や住宅着工件数が増えた減ったという政府の報告が株価にどう影響するかとかを延々伝えて、いわゆる普通の人は「まず、見ない」だろうと思うわけです。まあ、株もやらなきゃ金融関係の仕事でもないのに毎日見ている私が変わり者なんですが・・・。

でもね、例えばヨーロッパ旅行に行く人が「ユーロ安は直ぐに終わるの?長いの?」なんて私に聞けば「長いと思うよ、今安くなったからと言って急いで両替しなくても良いよ」くらいは言ってあげられる(笑)。震災直後の円高にしても、経済ニュースでその理由をきちんと開設してくれたのを理解したから、人から「なんで円高になるの?」と言われたら、受け売りの説明だけどして上げられる(笑)。

なんていうか、私は経済の専門家じゃないよね。少しマニアックに動向とかその動きの理由を知りたいだけの人ね。でも、そういう人にきちんと情報を届けると、そういう人は周りに対して正しい情報の中継局になれる訳です。なんていうか、サイエンスコミニケーションだけじゃないけど、情報伝達に関して「中継局」の役割をきちんと増やして、そこに正しい情報が届くようにする事の意味をもう少し考えたいと思うんですね。

by 技術開発者 (2011-06-29 17:56) 

pooh

> 技術開発者さん

こう、なんと云うか、情報は届きやすくなっているわけです。発信しやすくもなっているわけですが。
で、いずれにせよその情報を取捨選択して、判断はしなければいけない。

でもって、なまの情報を理解するのはけっこう難しいわけです。正直、数字だけを出されても、専門家以外のたいていのひとはわからない。たいていのひと、は言い過ぎかもしれないのですけど、ぼくなんかはわからない。

で、ここなんかはなんの専門家でもない人間の代表(ややうすらぼけ寄り)であるぼくが、「すこし考えれば判断はしやすくなるよ」みたいな道筋を示す場所でもあったわけです(最近の状況が状況なのでちょっと過去形)。これくらいまでわかれば判断できるし、それはこれくらい考えればわかると思うよ、って云う部分の提示みたいな。

でまぁそもそも(はるかに高度な知識と理解力とコミュニケーション能力が前提にされると云う違いはありますが)、サイエンス・コミュニケータのお仕事ってそう云うことだと思うんです。そう云うのが、高水準で必要とされている状況が、いままさにあるんだと思います。

このエントリでなんか躊躇してるみたいな書き方になっているのは、そのサイエンス・コミュニケータのお仕事と云うのにこれまでいくらか文句をつけてきた経緯もあるし、逆にいろんなひとからいろんなことをいろんな角度で云われてきた経験から来ている部分もあります(^^;。
わかりやすさ志向、と云うのに文句をつけてきたぼくではありますが、やっぱり個人で判断するために必要とされる情報が多くなって、しかも簡単に理解することのできないものも増えてくると、やっぱりそれを理解させるために仲介する仕事ってのは重要になってくるわけですよね。

先日のガイガーカウンター・ミーティングで菊池誠が云っていたらしいようなことって、やっぱりあるんだろうな、とかは思うわけです。
http://shinonome-do.cocolog-nifty.com/611gcm/2011/06/611gcm-9ea4.html
(きくまこはもうちょい優男のような気もするけど)
どうしたらそれをもっと無理なく行っていけるのか、みたいなことを考えてきたりもしたんですけどね。
by pooh (2011-06-29 21:06) 

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