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奪い去られるもの [よしなしごと]

仙台市在住らしいJumiさんの放射線から身を守るために味噌を食べよう!と云うエントリを読んだ。

今回の東日本大震災に便乗して各ホメオパシー業者がどんな行動に出ているか、と云うことについては、mochimasaさんが震災に便乗するホメオパシー提唱者たちと云うエントリで概観している。これは3/12付のそうとう早い段階でのエントリなので実際の行動には触れていないけれど、日本ホメオパシー医学協会の報告によると、由井寅子氏ご本人が4/2の土曜日に仙台に来て、若林区の津波被災地で砂糖玉撒いたり記念撮影したりポエムを読んだりしてたみたい(このポエムが、さすがの悪趣味なぼくでも引用をためらうような代物)。

でもってそのあとホメオパシー信奉者を集めて講演会があったらしくて、その内容についてのブログエントリがだんだんあげられ始めている。上でリンクしたJumiさんのエントリはそのひとつ。
さて、タイトルの放射線には味噌という内容ですが・・・昨日の講演会で
由井先生が話された内容です。

広島の原爆による被爆者を診たお医者様が、味噌や質のよい塩を患者に
徹底的にとらせたら、かなりの方々の症状が良くなったそうです。

味噌をはじめ納豆や醤油などのいわゆる発酵食品は腸をきれいにして
くれます。腸がきれいだと血液もきれいになります。血液がきれいだと
免疫力は上がり体内に溜まった毒を排出できるのです。
この種の主張は、震災後とくにマクロビオティック関係の人間から発信されるケースが多いらしく、どうやらきくちゆみなんかも同種の主張をしていたらしい。このへんについては(そもそもこの言説がどんなふうにデマなのか、と云う詳しい説明と一緒に)どらねこさんがマクロビ食は有効な放射線対策ではないと云うエントリで詳述されている。

で、いつもながら不思議なのが、この種の言説を発するにあたっての動機。マクロビオティックの場合直接利益誘導につなげることが可能だけど、ホメオパシーの場合は直接はビジネスにならない。いや、日本ホメオパシー医学協会の傑出した商品開発力からすれば、味噌のレメディとかホメオパシー味噌(味噌に混ぜて食べる。ほめおぱしっくいと同じしくみ)なんかをこれから出してくるのかもしれないけど。ただ、
私たち日本人の食事には発酵食品がたくさんあります。
今のご老人たちは粗食で育ち、梅干、たくあん、味噌汁、納豆などの
発酵食品を、現代の私たちよりもたくさん食べていたと思います。
だから長寿なのですよ!

でも、戦後食がどんどん欧米化し、さらに化学調味料や保存料、食品
添加物、そして農薬がかかった野菜などを食べてきた現代人たちは、
メタボや肥満など不健康になり、生活習慣病を患う人がたくさんいます。

放射線汚染に発酵食品が良いとは、驚きでした。
とても身近な食べ物で防御ができるのですね~。なんとありがたい!!
日本食の素晴らしさを再認識です!
こんな感じの、トンデモの向かうべきベクトルの一典型としての「国粋主義的主張」がみられるので、あとは船井幸雄先生が尻を拭いてくれる、みたいな話なのかもしれない(だから長寿なのですよ!とか云って、戦後一貫して日本人の平均寿命が伸びていると云う事実を平然とないことにする、みたいなのも、まぁ見慣れた風景ではある)。
土地を浄化するにはひまわりやキク科の植物を植えると、放射性物資を 植物が吸収し無毒化してくれるそうです。これも簡単に出来ること。 植物ってすごいのですね~。
このデマをホメオパシー関係者が流布している、と云う点については、やはりmochimasaさんが原発周辺の畑にレメディとヒマワリの種とデマを撒き散らそうとするホメオパシー関係者と云うエントリでお書きのとおり。引用すると期待通りにヒマワリが土壌中の放射性物質が取り込んだとしても、放射性物質は無毒化されたわけではなく植物体内にそのままの形で残っている。それを燃やしたところでやはり放射性物質は放射性物質のままなので問題の解決にはならない。そればかりか不用意に燃やせば放射性物質が飛散する可能性があるし、灰にも放射性物質が含まれるので廃棄物として適切に処理されなければならない。と云う話。ちょっと考えれば当然の話なんだけれど、ちょっと考えてみることをしない自らの信奉者をデマの拡散対象としているわけで、このへん計算のうえだとすればそうとういやらしい(もっともこの種の手口のいやらしさは、この国のホメオパシー商売の本質に根付いたものではある)。
今、この大震災を通して私たちは今までのように欲望を満たすことを
追求し続けることを止め、自然と共存し質素に生きる術を学ぶ時なの
かもしれません。

昨日の講演では、由井先生の被災した私たちに寄り添う心遣いや思いやり
がひしひしと感じられ、胸が熱くなる場面が何度もありました。
由井先生も涙を浮かべられ、今回の震災で犠牲になった方たちの死を
無駄にしないよう、生き残った私たちがどう生きてゆくべきかを考え
直すときだとお話されていました。
この種の言説に見られるのは、今回の震災にともなう犠牲が人間の行動に対するなんらかの報いである、と云うような、石原慎太郎の暴言にも共通する発想だと思う。つまるところそれは、犠牲になったかたがたは「罰せられた」と主張しているのと同様だ(そして、それはひっくり返すと、被害の少なかった人間の相対的な道徳的優位を主張することにつながる。最低だ)。
もちろんこれは犠牲者を冒涜する唾棄すべき主張であり、みずからのビジネスのためにだれかにそのような考え方を植えつけるような行動は忌まれてしかるべきもの、だと思う。おそらくJumiさんは自分がどれほどひどいことを書いているのか気付いていないのだろうと思うけれども、そう云う最低限のモラルを自分で判断する能力さえも喪失させてなんぼ、みたいな性格が、たとえば由井氏の「感動」をベースにしたマーケティング手法には存在しているんだろうな、みたいに感じる。被災した私たちに寄り添う心遣いや思いやりひしひしと感じさせたり、涙を浮かべてみせることでたとえばJumiさんみたいな(おそらくイノセントで善意に満ちた)かたから最低水準の道徳的な慎みみたいなものを奪ってしまうこの種の手法は、やっぱり本質的に邪悪、と称するのが適切なんだろうな。
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うさぎ林檎

こんばんは。

ひまわりに関しては間違っているのに気づいたようでこちらで言い訳してます。

>ホメオパシー出版社
>ホメオパシーの手引き⑬放射能より農家へのアドバイス
http://www.homoeopathy-books.co.jp/library014.html

>編集部注
>放射性物質を植物で除去する研究があります。ひまわりがセシウム137を根に、
>ストロンチウム90を花に効率良く吸収することがわかっています。
>こうした植物が持つ能力を環境修復に利用する方法を
>ファイトレメディエーションといい、近年注目を集めています。
>ひまわりで放射性物質を短期間(20日間?)で95%以上も除去できるとか。
>放射性セシウムやストロンチウムを吸い上げたひまわりは、
>厳重な管理のもとで焼却し、灰は放射能物質としてやはり厳重にタンクで
>管理し続ける必要があります。

ただし、

>植物が生来授かっている知性は宇宙の知性の一部であるから、
>人間がホメオパシーのレメディーやチャクラのフラワー・エッセンスを与えて
>助けることが可能である。
>動物にもレメディーを与えることができる。特に牛。

と書いてあるので全部台無しです。

poohさんもご覧になったようですが、"自衛隊の方々は、黙々と頑張って"いる
場所(遺体捜索・収用)で記念写真を撮った写真を見ても感動するのって
イノセント、なんでしょうか?
by うさぎ林檎 (2011-04-04 22:18) 

pooh

> うさぎ林檎さん

言い訳はしてるんですけど、なんか中途半端なんですよね。結果として文意の通じない内容になっているんですけど、たぶん基本的には文意なんか気にもとめないような層の囲い込みが目的なんでしょうから、これはこれでいいんでしょう。

> 感動するのってイノセント、なんでしょうか?

もちろんそうです。「感動すべき」と云われた場所で疑いを抱かずに感動できるイノセンスが、ナチュラルな人生を送るためには必要な資質です。
…まぁご存知のとおり、ぼくは「イノセント」とか「ナイーヴ」とか云う形容詞を褒め言葉につかうことはまずない人間ですけど。
by pooh (2011-04-05 07:39) 

どらねこ

おはよう御座います。
言及トラックバック有り難うございます。
味噌の効果について、タケヤミソが実験結果により放射性物質に対する効果が見出された!と謂う論調で味噌の有効性を訴えているのを教えて貰い、がっくり来ております。
紹介されている論文はマウスでの効果を示したものでしたが、食事の10%を味噌に置換したえに、観察期間は3日ほどで、効果が確認できるようになる放射線量については半数致死量を超えるような強力なものでした。
そのような特殊な条件下での効果しか全面に出せないのであれば、その効果は極めて限定的であると私には思えます。しかもマウスでしかありませんし。
・・・
もう一つ、味噌の有効性を訴えるヒトはチェルノブイリでの事故後味噌の輸出が急増したと謂う事例を紹介するのですが、その根拠が示されているのをあまりみかけません。そこで、味噌の輸出量を示した資料を探してみました。
http://www.zenmi.jp/data/Export/exportnenjibetu-2010.pdf
私の目にはトレンドが変わったようには見えないんですよね。
・・・
苦しいときに、頑張ろうニッポンとか、日本の底力みたいなキャッチフレーズは心に響くのかも知れませんが、伝統食で乗り切ろう、みたいな場合には根拠も求められる事を忘れてはいけないと思うのですよね。
ありふれた日常を大切に思うのは大切な事なんですが、苦しい状況を反省材料にしろみたいな言説はなんだか違うようにも思います。
by どらねこ (2011-04-05 08:04) 

pooh

> どらねこさん

タイミングを見ながら適切なリンクを張って言及するのが、一次情報を提供しないここみたいなブログの役割のひとつだと思っています。

> 苦しいときに、頑張ろうニッポンとか、日本の底力みたいなキャッチフレーズは心に響くのかも知れませんが、伝統食で乗り切ろう、みたいな場合には根拠も求められる事を忘れてはいけないと思うのですよね。

団結もしますし、支援や協力はよろこんでありがたく受け取ります。でも、そこにはナショナリズムは必要ないはずなんです。沿岸部での米軍の活躍は涙が出そうになるほどありがたいですけど、ここに人民解放軍が来てくれていっしょに活動してくれればどんなにすてきだろう、みたいに感じたりもします。
日本の伝統食にはもちろんすばらしいものもたくさんあります。個人的には、日本の味噌ほどおいしい調味料は内外併せてまれなのではないか、みたいに思ったりしてます(もともと調味料ではないですけどね)。でもそれは「それらを育んだ自分たちのすばらしさ」みたいなものに矮小化されるべきものではないんじゃないかなぁ。

> 苦しい状況を反省材料にしろみたいな言説

反省したいやつは勝手にすればいいんです。反省ってのは内省です。それを他人に向けて放つのは、いちばんやさしいことばを選んでも傲慢、です。傲慢は傲慢でいいのですが(こう云うことを書く以上、ぼく自身も相応に傲慢ではあります)、自覚なき傲慢さは救いようがないくらい醜悪だと思います。
by pooh (2011-04-05 21:10) 

mimon

どらねこさん、タケヤみその「みそ健康レポート」第8回を見ました。
> 観察期間は3日ほどで、
これは、仕方のないことです。10Gy(mGyではない!)ものX線を照射されたマウスは、みそ投与の有無に関わらず、消化管傷害により、3日ほどで死にますから。
http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/09/09020301/03.gif
ヒトの場合は、もう少し丈夫にできていまして、消化管傷害があっても、一週間から10日くらい生き延びますので、その間に失われた電解質と水分を静脈輸液して、細菌感染も防止すれば、もっと延命できます。
ところが、その次の段階で造血傷害が生じまして、10日以上経ってから亡くなる方は、そちらが多いはずです。JCOの臨界事故の時もそうでした。さすがに、造血傷害に「みそ」は、効かないと思いますよ。
by mimon (2011-04-06 00:05) 

mimon

phooさん、
> このポエムが、さすがの悪趣味なぼくでも引用をためらうような代物
恐いもの見たさで、日本ホメオパシー協会の「東北災害支援報告」を読んでしまいました。
やっていることは、「支援」ではなく、行った先々で写真を撮って、感想を述べているだけの単なる観光旅行ですね。
義捐金の「目録」を届けたことが支援のつもりなのかもしれませんが、受け取る立場からすれば、銀行振り込みのほうがありがたいに決まっていますし、まだ体制も整っていない状況でしたら、できれば、日本赤十字社経由にしてもらいたいのが本音だと思います。
そうして、分かち書きしただけの感想文は、引用どころかリンクするのも怖ろしいような物です。
いくらなんでも、こんなのを奉げられては、宮城県民がかわいそうですから、同じ題材で、へたくそなりに作り直しました。

 家が流れ 松が倒れ
 陽は海を輝かせても
 人の生きている自然と
 命

縁起直しのつもりです。
by mimon (2011-04-06 01:34) 

pooh

> mimonさん

> 単なる観光旅行ですね。

いやきっと「視察」なんですよ。いや、クライアントに対する顧客維持活動の側面がつよいんでしょうけど。

> 受け取る立場からすれば、銀行振り込みのほうがありがたいに決まっていますし、まだ体制も整っていない状況でしたら、できれば、日本赤十字社経由にしてもらいたいのが本音だと思います。

だってべつに被災者とか、災害支援をしている自治体のために行ったわけじゃないですもの。言及先のエントリをお書きのかたのような顧客層に「感動」を販売しなきゃいけないわけですから、優先順位を考慮するにあたって実効性なんか入って来るわけがない。
もう議論は、火事場泥棒にはたして三分の理を期待できるかどうか、みたいな水準になっているわけですから。
by pooh (2011-04-06 07:50) 

OSATO

瓦礫をバックにたたずむ姿は許せない。
あの光景を単なる自分の引き立て役に貶めた罪を、彼女は知る故もないんだろうな。
by OSATO (2011-04-07 00:32) 

pooh

> OSATOさん

> あの光景を単なる自分の引き立て役に貶めた

そもそもひとの健康(場合によっては生き死に)をおもちゃにする商売に就いているかたですから。
by pooh (2011-04-07 07:42) 

どらねこ

>mimonさん
そんな状態に於いて、10%味噌食の経口摂取を強いると謂うのは人道を外れた行為ですよね。
そんな絶望的な状況下でないと、効果を見出せない大量摂取はゴメン被りたいところです。
by どらねこ (2011-04-07 21:02) 

pooh

> どらねこさん

これぼく、じつはまじめにイメージしようとするだけで具合がわるくなってくるんです(^^;。
by pooh (2011-04-07 21:37) 

黒猫亭

>どらねこさん、poohさん

昨日の余震は凄かったですが、そちらはどうですか。どうも大きな停電が起こっているようですが。
by 黒猫亭 (2011-04-08 06:59) 

pooh

> 黒猫亭さん

でかかったです。せっかくしまったCDがまた床にぶちまけられてしまった(って、うちはなにかとそれだけですけど)。

うちは停電しましたが、ついさきほど復活しました。仙台市内は全域停電と云うわけではなかったのですが(昨晩のうちでも、ベランダから見た川の向こう岸は電気が来てたみたいですし)、他県で広範囲の停電があるようですね。実体は把握できていないです。
by pooh (2011-04-08 07:12) 

黒猫亭

ご無事で何よりです。埼玉のほうでも相当揺れましたから、そちらではさぞかし盛大に揺れたことでしょう。本震でガタが来た建造物の倒壊と津波の再来が一番の懸念でしたが、大過なくてよかったです。

こう謂うことがある度に親しい方々の安否を確認しないと安心出来ないので、神経がすり減りますね。しかもこのレベルの余震がこの先まだまだ続くのだと思うと、年寄りにはキツいです。
by 黒猫亭 (2011-04-08 20:23) 

pooh

> 黒猫亭さん

ご心配をおかけしております。

> 建造物の倒壊と津波の再来

うちのマンションは古いわりにけっこう大丈夫、みたいな感じが強まりつつあります。
大きな津波がなかったのはほんとうにほっとしました。いや、みなさんテレビなんかでご覧でしょうが、津波に洗われた沿岸部の風景は目の当たりにするとそうとう来るものがあります(だいぶ片付けられたいまでさえ)。

> このレベルの余震がこの先まだまだ続く

もう、かんべんしてほしいです。正直。
by pooh (2011-04-08 21:47) 

どらねこ

>poohさん
無事なようで何よりです。
此方は、最初の地震と同程度に揺れました。その後まさかの大停電で、職場での対応に追われておりました。
もう、かんべんしてほしいです。正直。
by どらねこ (2011-04-09 08:33) 

pooh

> どらねこさん

うちの職場は停電はありませんでした。でも昨日の午前中は片付けに追われてましたけど。なんか震源に近いこのあたりより、北東北の方が停電の影響が大きかったみたいですね。

こう、なんか、じわりじわりと神経が圧迫されてくる感じがあります。
by pooh (2011-04-09 09:16) 

pooh

ちなみにホメオパシージャパンの火事場泥棒的言説について、ma03さんがいつもながらの鋭さで返していらっしゃる。
http://blogs.yahoo.co.jp/ma_koi03/28500431.html
なにを付け加えてもなまくらにしてしまうような気がするので、リンクだけ。
by pooh (2011-04-15 21:15) 

Katase

TOSSに、放射線の害の予防に「みそ」が有効という授業モデルが紹介されていました。
http://ww3.tiki.ne.jp/~bocky/miso2.htm

・味噌汁を毎日食べる人は胃がんになりにくい。
→味噌の効果の他にも、食事内容のバランスの問題かも知れない。

・マウスの実験で、「普通のえさを与えてから中性子に暴露したグループは62パーセント癌」 「普通のえさに味噌を足し与えてから中性子に暴露したグループは12パーセントが癌」
→実験はマウス(寿命が約3年)のもので、人間(寿命が80年以上)とは体を維持する能力が違うし、癌を防御する働きの強さなどが異なる可能性がある。
→えさを与えた期間や加えた味噌の量、中性子の量、実験に用いたマウスの数などが不明なので、どれだれの信頼性がある実験か判断できない。

・西ヨーロッパ諸国の人々は、放射能被害を少しでも軽くするために味噌を事故の前の4倍も日本から買い求めた。
→味噌を買い求めた西ヨーロッパ諸国の人達は、「味噌が放射線予防に有効」というデマに踊らされただけかも。それによってどれだけ効果があったかも不明。
どらねこさんが既にコメントでデータを出して指摘されていますが、特にチェルノブイリ事故のあった1986年以降に輸出量が跳ね上がったということは無さそうですよね。

・味噌の中にはジピコリン酸といって放射性物質を体に出す成分が含まれています。
→ジピコリン酸が放射性物質(どの放射性物質に有効かも不明)を体に出す働きがある程度あったとしても、人が通常食べる量の味噌に含まれるジピコリン酸の量で、効果が充分かどうか分からない。(それに、効果がある放射性物質が対策の目的である原発事故などで放出されるものの中に含まれる量が少なければあまり効果を期待できない)


すごく誘導的な授業の進め方ですが、突っ込み所が満載ですよね。
引用文献にも、ちゃんとした学術論文はありません。
放射線の害を予防するのに味噌が有効とする説は、元々はマクロビオティックを実践していた秋月辰一郎という医師が言い出しっぺみたいですね。
http://otsukako.livedoor.biz/archives/51760768.html 

この秋月氏の信棒者のブログによると、
『博士の書いた「長崎原爆体験記」(日本図書刊行センター刊「日本の原爆記録」第9巻に所収)という本の英訳版が欧米で出まわり、チェルノブイリ原発事故のあと、ヨーロッパで日本の「味噌」がとぶように売れたということはあまり知られていない』
とあり、放射線対策としてヨーロッパで日本の「味噌」が売れ出したとする噂はこういう話が元の様ですので、これを味噌が効果のある理由だとするのは、デマの根拠がデマであったという、よくありがちな構図の様ですね。
by Katase (2011-04-18 02:29) 

pooh

> Kataseさん

ぼくが前後の文脈を理解していないだけなのかもしれないんですけど、こう云うことを授業で教えようとする、その目的はなんなんでしょうね。
by pooh (2011-04-18 07:33) 

Katase

poohさん

同じくTOSSなのですけれど、医学的な根拠に乏しい放射性ホルミシスについて、
「少しの放射線は、細胞の働きを活性化させるのです」
と、断定して教えてしまっています。
しかもその根拠がゾウリムシの実験。(^^;)
マウスよりも人間から遠いんですけど~

・放射線ホルミシス効果の授業 (実施学年 小学校6年 総合)
http://tossnagasaki.gr.jp/oda/zyugyo/horusinagare.htm 

>放射線の被害を受けた人が少しの放射線で体を良くしようとしている。

これなんて、放射線の被害を受けているなら尚更、累積する放射線の量を減らすようにした方が良いと思うのですけれど…。
なんかムチャクチャな授業ですね。
話の展開も温泉が体に良いと昔からいわれているからということから、放射線の効果にいきなりワープしていますし。因果関係の取り違えは無いのかしら???

TOSSランドの検索で「原子力」で調べるとこんな感じです。
http://www.tos-land.net/?key=%B8%B6%BB%D2%CE%CF&action_search=true&tcc=

原子力の推進にとても協力的な印象を受けます。
by Katase (2011-04-18 10:27) 

pooh

> Kataseさん

この団体については以前に、水伝授業やEM推奨で取り沙汰された(した、かな)くらいの認識しか持ってなかったんですけど。なんかapjさんのところの掲示板でちょうど、関係するへんてこな勉強会についての情報があげられていますね。
http://www.cm.kj.yamagata-u.ac.jp/bbs02/showthread.php?mid=1061&form=tree

しかし、目的がわからない。うむむ。
by pooh (2011-04-18 21:36) 

Katase

>poohさん

>しかし、目的がわからない。うむむ。

なんなのでしょうね。TOSSという団体がわりと原子力の利用に好意的で、放射線はそんなに恐くないのですよと、放射線の害は身近な味噌を食べることで防げるし、放射線は少しならば逆に健康に良いのだという教育をすることで、生徒達の放射線への抵抗感を無くそうとしている様にも感じ取れますが、思い過ごしかしら?

ある団体が特定の思想に傾くというのはありがちなのかも知れませんが、特に学校などの教育現場では科学的な事を教える際には、きちっと根拠のある内容を生徒達に教えて欲しいです。

掛け算の順序問題でも、誤った内容が訂正されずに、逆に積極的に教えられてしまうという共通した要因があるのかも知れません。

先生の論の持って行き方に疑問を持てる生徒だといいのですが、まだ小中学生くらいでは、ああいった誘導的な授業に騙されやすいと思います。
困ったものですね。
by Katase (2011-04-19 08:37) 

pooh

> Kataseさん

> 生徒達の放射線への抵抗感を無くそうとしている様にも感じ取れます

そうするには、そうするだけの理由が通常あるはずじゃないですか。そこが見えない。
例えば水伝授業なんかだと、教室のなかで好ましくないことばづかいがとびかうのを表面的にでも抑制できるとか、そう云うベネフィットがあるわけです(本来の教育、と云う面でそんなのベネフィットじゃないじゃん、みたいなのがぼくみたいな立ち位置の論者の主張なんですが)。そう云うのが見えない。

> 特に学校などの教育現場では科学的な事を教える際には、きちっと根拠のある内容を生徒達に教えて欲しい

ここのところは同感だし、ぼくを含めニセ科学に批判的な論者は多くが同様のことを主張してきましたが、最近ぼくはどうも、そもそもこのこと自体がそうとう難しいことなんじゃないか、みたいに感じるようになってきました。
なにしろ見ている限り、本来科学者であり、科学について一般人に正確な理解をもたらすプロフェッショナルであるはずの優秀なサイエンス・コミュニケーターのみなさんですら、このことを放棄しがちなように見受けられるので。
by pooh (2011-04-19 21:34) 

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