もしプロフェッショナル・ホメオパスがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら [よしなしごと]
# タイトルと内容はそれほど関係なくもないです。
前のエントリでぼんやりと、なんか単体では採算が取れそうにないニセ科学的事象のビジネス的価値、みたいなものについて考えてみたりしたのだけど、もうちょっと生々しいあたりでmoon-3さんがいまホメオパシー業界は。と云うエントリをあげていらっしゃる。
これに先行してmoon-3さんは金のためにやっている。と云うエントリをお書きになっていて、これは個々のホメオパスの経営状況について考察した内容だった。そのへんに関わってくるものとしては、NATROM先生がすこし前にホメオパスになるためのコストと云うエントリをお書きになっていて。
で、ここからの引用はmoon-3さんのエントリから。
仙台だと長命ケ丘にあるカフェが日本ホメオパシー医学協会のセンターになっていて、それなりに活動してるっぽい(住吉台にもセンターがあることになっているけど、こっちはあまり名前を聞かない)。でまぁ上杉の、こっちはちょっと人気らしいカフェがそのへんのイベントとかを開催するのにちょっと積極的な印象。あと大町にはレメディの販売店があるみたい(行ったことがあるわけではないので本業でなにを商っているのかは不明)。
秋保まで行くとホメオパシーも癒しも波動もマイナスイオンもソマチットもなんでもありのお店とかあったりして、こっちは機会があったら覗きに行ってもいいかな。
まぁネットなんかでもそこそこ見かけるのはこれぐらいで(あとは整骨院関連かな)、隆盛を誇っている、みたいな感じではない。例えばこれから「まちづくり」なんかを教えているらしい宮城大学の某先生あたりがこのへんを絡めて煽ってくればわからないけど(なんかいかにもやりそうで嫌なんだよなぁ)、当面たくさんのホメオパスが食べていけるだけの需要がある状況には見えない。マーケットが重なりそうな、例えばカフェのたぐいはけして少なくはないのだけどね。
日本のホメオパシー団体の最大の顧客はホメオパス(およびホメオパシーを学ぶ学生)なのではないか、みたいにもちょっと考えたことがあって、でもまぁ年間100名のホメオパスを卒業させたとしてもいいとこ4億円とかなのでそれほどでもないのかな、みたいにも思ったり。でもレメディと同じで原価は知れているのでまぁ儲かりはするのだろう。
でも授業料を支払ったホメオパスはかならずしもセレブリティばかりとは限らないわけで、だとすれば回収できなくてそれなりにたいへんなことになっていたりもするのかもなぁ。
でも、喰えなくなって困った末端のホメオパスが暴走して、重い病を抱えた層を本気で取り込もうとし始めたら、それはそれでホメオパス団体にとっては困ったことになるわけで。
で、ここから先の部分で、moon-3さんは「信憑性は保証しない」と云うスタンスで、ホメオパシーのビジネスモデルの転換についてお書きになっている。とりあえずそのへんは引用しないので、言及先を直接お読みください(説得力のある内容ではあるけれど)。
でまぁ、それとは別の部分で、個人的にも日本ホメオパシー医学協会は新しいビジネスモデルを模索しているな、みたいに感じる点はふたつほどあって。
ひとつは養成期間1年間、費用35万円で取得可能な「ファミリーホメオパス資格」をあらたに設定したこと。これくらいなら資格取得者が回収に血眼になることもないだろうし(「プロフェッショナル」ではないわけなので)、レメディのヘヴィユーザの確保もできる。
あともうひとつは、船井幸雄との接近ですね。あまりにオーバーグラウンドに広げるとちょっとまずい、みたいな部分も見えてきたので、たぶんMLMの手法とノウハウを本格的に取り入れよう、と云うことなんじゃないかな、みたいに思う。
まぁイノベーション、ですかね(とかって無理やりタイトルにつなげて終わらせる)。
前のエントリでぼんやりと、なんか単体では採算が取れそうにないニセ科学的事象のビジネス的価値、みたいなものについて考えてみたりしたのだけど、もうちょっと生々しいあたりでmoon-3さんがいまホメオパシー業界は。と云うエントリをあげていらっしゃる。
これに先行してmoon-3さんは金のためにやっている。と云うエントリをお書きになっていて、これは個々のホメオパスの経営状況について考察した内容だった。そのへんに関わってくるものとしては、NATROM先生がすこし前にホメオパスになるためのコストと云うエントリをお書きになっていて。
「4年制パートタイムコース」では、入学金15万円、年間授業料95万円(一括なら90万円)。4年制というから、15万円 + 90万円 × 4 = 375万円といったところ。金額だけでなく、授業時間等の、時間のコストも支払うことになる。安くはない。まぁこのへんのコストの高さもひょっとするとセレブリティ・ワナビー層の顧客を惹きつける要素のひとつにはなっているのかもしれないけど、普通はなかなか回収できる金額じゃないよなぁ、とか思う。まぁアレクサンダー陽子氏くらいに著名になって、カウンセリングだけじゃなくて講演会なんかでも稼げるようになればべつなんだろうけど(彼女がどこかのホメオパシー団体の認定になるプロフェッショナル・ホメオパスなのかどうかは知らないけど、とりあえず由井寅子氏と「おともだち」なのは確かみたい)。
で、ここからの引用はmoon-3さんのエントリから。
一般的?なホメオパスとなると、初診10,000~15,000円程度、再診5,000円前後です。まぁじっさいのところそれだけの顧客がいるのか、顧客数があるのか、と云う話ではあって。
問診は時間制となっていて、基本的に一回60分。初診10,000円・再診5,000円のホメオパスが、一日8時間営業して8人の患者の応対をしたら、(初診・再診それぞれの患者が半々だったとして)一日に60,000円程度を稼げることになります。一カ月に20日営業するとして、60,000円×20日=1,200,000円となるなら、高利益率体質のホメオパシー業界なので、それなりの所得が期待できるはずです。ところが現実はそう甘くありません。
仙台だと長命ケ丘にあるカフェが日本ホメオパシー医学協会のセンターになっていて、それなりに活動してるっぽい(住吉台にもセンターがあることになっているけど、こっちはあまり名前を聞かない)。でまぁ上杉の、こっちはちょっと人気らしいカフェがそのへんのイベントとかを開催するのにちょっと積極的な印象。あと大町にはレメディの販売店があるみたい(行ったことがあるわけではないので本業でなにを商っているのかは不明)。
秋保まで行くとホメオパシーも癒しも波動もマイナスイオンもソマチットもなんでもありのお店とかあったりして、こっちは機会があったら覗きに行ってもいいかな。
まぁネットなんかでもそこそこ見かけるのはこれぐらいで(あとは整骨院関連かな)、隆盛を誇っている、みたいな感じではない。例えばこれから「まちづくり」なんかを教えているらしい宮城大学の某先生あたりがこのへんを絡めて煽ってくればわからないけど(なんかいかにもやりそうで嫌なんだよなぁ)、当面たくさんのホメオパスが食べていけるだけの需要がある状況には見えない。マーケットが重なりそうな、例えばカフェのたぐいはけして少なくはないのだけどね。
日本のホメオパシー団体の最大の顧客はホメオパス(およびホメオパシーを学ぶ学生)なのではないか、みたいにもちょっと考えたことがあって、でもまぁ年間100名のホメオパスを卒業させたとしてもいいとこ4億円とかなのでそれほどでもないのかな、みたいにも思ったり。でもレメディと同じで原価は知れているのでまぁ儲かりはするのだろう。
でも授業料を支払ったホメオパスはかならずしもセレブリティばかりとは限らないわけで、だとすれば回収できなくてそれなりにたいへんなことになっていたりもするのかもなぁ。
でも、喰えなくなって困った末端のホメオパスが暴走して、重い病を抱えた層を本気で取り込もうとし始めたら、それはそれでホメオパス団体にとっては困ったことになるわけで。
しかも、そもそもホメオパスは十分な解剖学や生理学の知識を持ち合わせていません。4年間(ホメオパシー統合医療専門校/カレッジ・オブ・ホリスティック・ホメオパシーの場合)もかけて勉強をしておきながら、人間の肉体がどのような構造をしているのか、内臓や神経がどのような働きをしているのか、ちゃんと理解しているホメオパスが何人いるのかわからない状態なのだそうです。だってそんなもの、ホメオパシーの学校では学べないもの。学べるのは呪術だけだもの。でもって、そう云う状況のホメオパスが回収に精を出しはじめたら、とてもいやな状況になる。ここのところはmoon-3さんがお書きのとおり。
ビタミンK2不投与による乳児死亡事故や、通常医療による治療を拒否し死亡したいわゆる「あかつき問題」が昨年大々的に報道されホメオパシーが批難されました。これに対してホメオパシー推進団体は様々な言い訳をしましたが、本音では「ホメオパスに本気を出されると困る」ことに気付いたというのです。これはぜったいにあるんだと思う。でも、原理的にはホメオパシー団体はこの部分で個々のホメオパスを制御する方法を持っていない。大金ふんだくって教えてきたことと矛盾しちゃうもんね。
これ以上、死亡事故が増えると世間の目が冷たく厳しくなるばかりか、法による規制などが行われホメオパシーが弱体化します(レメディを売りにくくなります)。
で、ここから先の部分で、moon-3さんは「信憑性は保証しない」と云うスタンスで、ホメオパシーのビジネスモデルの転換についてお書きになっている。とりあえずそのへんは引用しないので、言及先を直接お読みください(説得力のある内容ではあるけれど)。
でまぁ、それとは別の部分で、個人的にも日本ホメオパシー医学協会は新しいビジネスモデルを模索しているな、みたいに感じる点はふたつほどあって。
ひとつは養成期間1年間、費用35万円で取得可能な「ファミリーホメオパス資格」をあらたに設定したこと。これくらいなら資格取得者が回収に血眼になることもないだろうし(「プロフェッショナル」ではないわけなので)、レメディのヘヴィユーザの確保もできる。
あともうひとつは、船井幸雄との接近ですね。あまりにオーバーグラウンドに広げるとちょっとまずい、みたいな部分も見えてきたので、たぶんMLMの手法とノウハウを本格的に取り入れよう、と云うことなんじゃないかな、みたいに思う。
まぁイノベーション、ですかね(とかって無理やりタイトルにつなげて終わらせる)。
こんにちは。
ターゲットの中心を発達障害に据え始めたこと、シニア向けの講演会を始めたことを見ると多分そんな感じなのでしょうね。
健康被害が起きにくい(と自分達が考える)層に食い込んでいこうとするのは、
戦略的には正しいかもしれません。
認定ホメオパスには保険のセールスレディ的な部分があるので、絶えず顧客の新規開拓をしていく必要があるのかな?とも思います。
by うさぎ林檎 (2011-03-03 11:26)
> うさぎ林檎さん
> 健康被害が起きにくい(と自分達が考える)層に食い込んでいこうとする
ある意味、この傾向はいいことである、とは云えて(みたいに云うとまたどこかで怒られそうですが)。いちばん危険な、急を要する部分に入り込んでこないようになるのなら。ただ、それは問題のもっとも切迫した部分が回避できる、と云うだけなので、それでおっけー、とはいかないわけですけど。
(このへん、ちょっとぼく自身、自分の頭の中を整理しなければいけないように自分で感じています)
> 絶えず顧客の新規開拓をしていく必要がある
レメディが販売できれば、それなりに細く長い商売も期待できるわけですけど、いまはコンサルティングフィーだけがホメオパスとしての収入ですものね(しかもそのコンサルティング、じっさいには裏付けとなる技能が実在しないわけですから)。……って、そもそも個々のホメオパスのレイヤーでは、すでにビジネスモデル自体が破綻している、ってことなのかな。
by pooh (2011-03-03 21:58)
脈絡もなく、「行商」のホメオパスなんていうものを思いついてしまいました。
どうせ中身は、いっしょなのですから、ラベルだけ何百種類も用意しておいて、クライエントと会話しながら、古本屋で安く入手したラテン語かドイツ語の革表紙の分厚い本(内容は神学でも地質学でも何でもいいのですが、英語だとばれやすいし、アラビア語だとやりすぎ)を調べるふりをしながら、砂糖粒の入った2.2mLサンプル管にもっともらしいラベルを貼って出します。
相手がもっとお金を出しそうなら、その場で「調合(!)」して見せるのも効果的でしょう。
コツは、サンプル管に茶色いガラス製の物を使うことです。まちがっても、ポリプロピレン製を使っては、ありがたみが無くなります。ガラス製でも無色のほうが安いのですが、百本単位で買えば単価は数円しか違いませんから、それで効果(?)が倍増するなら、安いものです。
要するに、「占い師」なのですけれども、今の法律ですと、特商法の訪問販売に該当しますから、書面の交付とか、クーリングオフとか、最後には合理的根拠まで求められて、ちっともロマンチックじゃありません。
by mimon (2011-03-04 02:13)
> mimonさん
えぇと、イメージされているのは、訪問販売でしょうか?
なんとなくぼくは道端に見台(?)を出してその場で判定と販売をおこなう図柄が頭に浮かびました。易者ですな。
あと、縁日で屋台を出す、ってのはどうでしょうね。
> その場で「調合(!)」して見せる
ははぁ。クラシカルじゃなくてプラクティカルですね。って、どうでもいいですね。
> 特商法の訪問販売に該当
その意味で、いかがわしいものにいかがわしいものとして接する、と云うのはむずかしくなってきているのかも知れませんね。いや、たぶん問題はそう云う接し方そのものができなくなっている(かもしれない)受け手側にもあるんでしょうけど。
by pooh (2011-03-04 07:41)
エントリで紹介された記事を拝見してきました。ありがとうございました。
> 絶えず顧客の新規開拓をしていく必要がある
素人目には、レメディを健康食品的なものとして、特に劇的な効果を期待せず継続的に購入して服用されるような顧客を作っていけばいいようにもうつるのですが。
レメディやホメオパシーが実態として、いかがわしいもの(まじない)である以上、ビジネスモデルとしては、「いかがわしいものをいかがわしいものとして売る」のがまっとうな形で、それを「まっとうなものとして売ろう」などとすると無理がでて破綻することになるのでしょう。
by 北風Mk-2 (2011-03-04 22:59)
> 北風Mk-2さん
> 継続的に購入して服用されるような顧客を作っていけばいい
レメディを販売して収益を得る場所にいれば、それでいいんです。ホメオパシー団体とか、レメディの製造業者、レメディを販売する薬局なんかはそうですね。
ただ、昨年東京都が薬事法違反の疑いでホメオパシージャパンに立ち入り検査をしてから、ホメオパスは直接レメディを販売できなくなったんです。つまるところ、収益的においしい部分であるところのレメディ販売から、400万円近くの費用をつぎ込んで資格を取得したホメオパスは利益をあげられなくなったわけです。回収の方法がコンサルティングフィーしかない状態になったんですね。
このへんの経緯は、やっぱりぐり研ブログさんがまとめているのがわかりやすいかも。
http://gurikenblog.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-d756.html
つまり、継続的なレメディ使用では個々のホメオパスは救済されないわけです。
> 「まっとうなものとして売ろう」などとすると無理がでて破綻する
でもですねぇ。
「まっとうなものである」と云う建前にしないと、400万円で資格は売れないですよ。と云うかそのへん、ちょっとビジネスを急ぎすぎたのかもしれないですね。
by pooh (2011-03-04 23:21)
)〉レメディを販売して収益を得る場所にいれば、それでいいんです。ホメオパシー団体とか、レメディの製造業者、レメディを販売する薬局なんかはそうですね
)「まっとうなものとして売ろう」などとすると無理がでて破綻する
コメント頂いたように、特に「ホメオパス」にその無理がでている(押しつけられた)と、私も思います。
団体が健康食品もどきだけでなく、資格なんて「まっとうなものである」としないといけないところに、手をだしたのがそもそも間違いなんでしょう。
その資格をとった「ホメオパス」としては「まっとうなものである」とせざるをえないが、無理を押しつけられた形であり、さらに楽なレメディ販売はできないし、いわば「本気をだす」わけにもいかない。
)「まっとうなものである」と云う建前にしないと、400万円で資格は売れないですよ。と云うかそのへん、ちょっとビジネスを急ぎすぎたのかもしれないですね。
ビジネスといいますか、「いかがわしいもの」を「まっとうなもの」として売ってあとは知らん、というのをやっただけというか。
「ホメオパス」まで含めたビジネスモデルを想定していた、とは思えないのですよね。
by 北風Mk-2 (2011-03-05 01:52)
> 北風Mk-2さん
それでもですね。それなりにアンダーグラウンドな場所にいて、一部の信奉者だけを相手に商売をしているのだったら、まだよかったと思うんですよ(それでもよくない、と云う意見ももちろんありますし、「まだまし」と云う程度の話ですけど)。ここで(時代の潮流に乗って)健康保険適用とか、そう云う拡大志向に向かったせいで、逆に現行のビジネスモデルとの不整合がでてきてしまったのでは、みたいに思います。
> 「ホメオパス」まで含めたビジネスモデルを想定していた、とは思えない
いや、元来はユーザを信奉者化してホメオパスに仕立て、さらに別のユーザを連れてこさせる、と云うMLM的なモデルなので、本来は(拡大は難しいながらも)それなりにサステイナブルなものではあったんだろう、と思います。
by pooh (2011-03-05 06:36)
こんにちは。
某会社が求人広告を出した時に
「日本のビジネスシーンに打って出ましょう」
とアピールしてました。
本気で陽のあたる場所にでるつもりだった、
いや今でもそのつもりだと思います。
by うさぎ林檎 (2011-03-05 11:28)
> うさぎ林檎さん
本気だったんだろうな、とは思うんです。その本気がちょっと度を越してナイーヴだった、みたいな感じで。
> 今でもそのつもりだと思います。
そうかもしれませんね。
で、そのへんのリスク管理のノウハウがないので、船井幸雄人脈に接近しつつある、みたいな構図もわりと容易にあたまに浮かびます。そうすると、帯津系と云うか医学会系のコネクションとの交通整理が必要になってくるはずなので、そのあたりが今後のホメオパシーのビジネス展開におけるポイントになってくるのかも。
by pooh (2011-03-05 19:40)
個人の容貌についての誹謗に類するコメントが2件ありましたので、削除しました。
by pooh (2015-04-21 19:21)