Politics [よしなしごと]
英国下院科学技術委員会による、ホメオパシーへの国民保健機関からの資金援助を除外すべし、と云う報告について、英国保健省が結果として無視するかたちになった、と云う経緯については、kumicitさんが英国保健省は下院科学技術委員会報告を無視すると云うエントリをあげられている。
で、この件に関する国民保健機関のリリースを、山口貴士弁護士が【えっ?】英国政府は、ホメオパシーにプラセボ以上の効果がないことを認めつつも、保険適用継続を決定【プラセボに公費使うの?】と云うエントリで抜粋・翻訳されているのを読んだ。
で、この件に関する国民保健機関のリリースを、山口貴士弁護士が【えっ?】英国政府は、ホメオパシーにプラセボ以上の効果がないことを認めつつも、保険適用継続を決定【プラセボに公費使うの?】と云うエントリで抜粋・翻訳されているのを読んだ。
ホメオパシー信者の方々がこの事実を曲解して、ホメオパシーが英国政府に認められたと吹聴して回ることは十分に予想されますので(※)、ブログで記事化しておきます。ご慧眼、と云うかすでに日本最大のホメオパシー業者のひとつが、朝日新聞の記事を否定する論拠のようにして使ってたりもするのだけどね。
ホメオパシーの効果なるものが、プラセボでしかないことは、NHS(国営医療サービス事業)も、認めていますが、「ホメオパシーには、プラセボ以上の効果があるという根拠はないけれども、患者の選択権を保障するという観点から、保険適用を認めます。」という結論です。まぁ要するに今回の件は非常にポリティカルな経緯を経て下された結論だ、と云うことで、そのあたり朝日新聞の長野記者の推測はいい線を突いていた、と云う話になる。
自己決定権は大いに尊重されるべきですが、他人をその自己決定権に巻き込むことには自ずから制約があります。内心の信仰の自由は無制限に認められていますが、「布教」の自由は、他人の人権と衝突しますので、一定限度制約されることもあるのは当然です。少なくとも、「プラセボ以上の効果がない」にもかかわらず、あたかも効果があるかのように喧伝したり、ホメオパシーに傾倒する余り、自分の被保護者に医学的な治療や予防接種を受けさせなかったりした場合、その責任が追及されることはやむを得ないでしょう。このへんじつは去年あたりにここでもいろんなかたと議論させていただいていたような部分でもあって。ぼくらの日常の暮らしと重なるいちばん重要な部分は、やっぱりこう云う部分にあるのだ、と思う。
2010-08-03 21:31
nice!(0)
コメント(2)
トラックバック(0)
こんばんは。
NHSの決定についてはチャールズ皇太子が口を挟んだなんて下世話な噂もあるようですが、そんなに力があるものか疑問です。それでなくてもチャールズ皇太子は代替医療の擁護者だってことが不人気の一因とも謂われていますし。
それよりも多角的に食い込んだ大きな産業をばっさりナシにするのは難しいってことのほうが大きい気がします、それは簡単な事じゃないでしょう。
ただ食品安全情報blogではNHS自体の組織改編が進むような情報もありますし、どうなんでしょうね?
でもあやふやな対応をしたことでNHSは自爆のスイッチを踏んだような気もしています。
by うさぎ林檎 (2010-08-03 23:14)
> うさぎ林檎さん
> そんなに力があるものか疑問です。
まぁそのあたり実情はわからないですけど、でも英国王室は「象徴」ではなかったりもしますからね。
> 多角的に食い込んだ大きな産業をばっさりナシにするのは難しいってことのほうが大きい気がします
じっさいはぼくもそうだと思います。あと、社会慣習にどれだけ根づいているのか、と云うのももちろんあるでしょうし。いずれにせよ、ポリティカルに下された判断、と云うのには違いないと思います。
> あやふやな対応をしたことでNHSは自爆のスイッチを踏んだような気もしています。
いやまぁでも、同種のことはどこの国でもたくさんあるだろう、とは思いますけどね。
効果をはっきりと否定した、と云うだけでも、相応の意味合いはあるんだろうな、と感じます。
by pooh (2010-08-04 07:29)