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異形 [motorcycle]

Wired Visionの暗黒卿が乗るバイク『Maglul浪人』と云う記事を読んだ。ビュエルがなくなった(と云うかハーレー社が手放した)ことは知ってたんだけど、最後はロータックスエンジンのマシンなんかつくってたのね。

まぁ記事内にある件の"Ronin"の写真もかっこいいのかどうか微妙ではあるけれど(ついでに例のシスのお方とどんな関係にあるのか記事だけじゃわからないけど、原文記事のタイトルを直訳すると「ヴェイダー卿、お召しのマシンが準備できてございます」って感じ)。
Magpul社のバイク乗りたちは、Buellを気に入っていたが、美的な部分はひどいものだと考えていた(もともと、美的さはBuellの売りでは決してない)。
この美的って部分は原文そのままで、まぁ誤訳ではないんだけど。

ビュエルってのはハーレーが供給する重くてトルクのあるエンジンをチューニングしてボディの真ん中の低い位置に置き、そのまわりに重たいものをおもいっきり集中させて安定成分を稼いだうえで、思い切って立てたキャスターとやたらに短いホイールベースでクイックさを確保、みたいな個性的なコンセプトにもとづいたバイクづくりをするメーカーで(生産中止にはなったけどまだ販売は続けているので、どんな格好のバイクなのかはまだハーレーダビッドソン ジャパン社によるビュエルのサイトで確認できる)。ぼくはまたがったことしかないので実感はできないんだけど、低重心・マスの集中による安定感と車体のディメンションに由来するハンドリングの俊敏さが両立した、でも雑に扱うとハーレーのエンジンに由来する巨大なトルクが(車体の軽さもあって)逆におっかない、みたいな乗り味だ、って話は聞いたことがある。
上でリンクしたサイトで見てもらえばわかるけれど、この独特のコンセプトを徹底してつきつめて、それ以外の要素は結構煮詰め方がぞんざいにも見えるこのバイクは、はたしてかっこいいか、醜いか。

もう離れて長いのでいまはどうなっているのかわからないけれど、ぼくはいまから15年以上前の、たがの外れた単車乗りがうじゃうじゃしていた頃の第三京浜や保土ヶ谷PAを知っている。
ぼくは当時、もともとの性能を損なわない方向で軽い改造を施しただけの国産のアメリカンバイクに乗っていたのだけれど、まわりを見回すとそこは途方もない改造をほどこした、異形のオートバイの群れがあった。改造と云うのは本質的にはそのバイクの元来持っているバランスを崩す行為なので、気合の入った改造車と云うのは特定の性能の突出した、とがった性格の乗り物になる。そう云うニュアンスは外見にも滲み出してくるもので、どいつもこいつも古傷だらけの歴戦の獣、と云った雰囲気を漂わせながら保土ヶ谷PAに停められていた。

じゃあそれはかっこよかったのか、と云うと、まぁやっぱりかっこよかった、と個人的には感じる。洗練とは無縁の、オーナーそれぞれが思い描く「速さ」だけを具現化したような、いびつな機械の一群。たぶん関係者以外から見れば、それは相当に剣呑で暴力的な風景ではあっただろうけど。

その徹底したコンセプトの賜物で、ストックの状態でもビュエルにはそれと似た、異形ゆえのかっこよさがあった。そして、その角度から見ればこの"Ronin"も捨てたものじゃない、みたいにもまぁ、思う。思うけど、でも。
Buellでフレームスパー下の側面に止められていたラジエターもゴミ箱行きになり、かわりに、ワイルドなガーダー・フォーク上に小型のものが取り付けられた。
ガーダーフォーク?
それってほんとに大丈夫か。路面が荒れてたら跳ねるんじゃないのか。本気で走ってる状態で前輪が跳ねるのはご勘弁。のんびり走るのがこれだけ似合わないバイクもなさそうだしなぁ(いや、本文からリンクされている解説サイトには、大丈夫だって書いてはあるんだけどね)。
タグ:motorcycle
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