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ホメオパシー受容の現状 [よしなしごと]

タイトルは釣りかも。
ホメオパシージャパン株式会社が運営するホメオパシーセンター東京本部で活躍されているらしいホメオパスの方が運営するブログで、第2回全国ホメオパシー利用者実態調査と云うエントリがあがっている。昨年9月から12月にかけてホメオパシージャパン株式会社が自社クライアントを対象におこなったアンケートらしい。

まぁ日頃からホメオパシージャパン商品利用者を対象としているためか、あまり辛らつな意見は見受けられませんでした。と云う断り書きはあるのだけれど。
アンケートはとらのこ会報「オアシス」と同送、講演会参加者、ホメオパシックファーマシー店頭等にて配布回収されたもので、有効回答者数は1142人です。回答者は96%と圧倒的に女性が多く、男性はわずか4%です。
こう云う偏りはあるよなぁ、みたいには感じる。ホメオパシー支持を表明するネット上の言説は大半が女性によるものだ。なかにはこどもへのインフルエンザワクチン接種を拒否してだんなさんに怒られた、と云うおかあさんもときおり見かけたり。これってホメオパシーの情報源となる接点・媒体にどちらかと云うと女性向けのものが多いからではないか、と云う推測はできるけれど、どうかな。
「もっと安く」「早く保険が適用になって欲しい、その活動を更にするべき」「センターを増やして欲しい」などの希望的な記述はあるものの、成果に対してはおおむね良好な回答がいただけたと感じました。
レメディが高い、と云う意識はあるようですね。
ところでレメディは保険がきかないので、厚生労働省の薬価算定の対象になっていない。どうやって価格を決めているのかわからないけれど、保険適用の対象になったら日本国内でのレメディ生産は商売として引き合わなくなるんじゃないだろうか(単なる砂糖玉に、厚生労働省がそんなに高い薬価を設定するとも思えないので)。

③レメディーを利用することで市販の薬の使用頻度はどうなりましたか?

 大幅に減った 82%

 少し減った 10%

 変わらない 8%

それはそうだろうな。常備薬的な使用法だろうから。併用するとレメディは効かない、と云うのがテーゼだろうし。

④レメディーを利用することで医療機関にかかる頻度はどうなりましたか?

 大幅に減った 72%

 少し減った 12%

 変わらない 16%

こっちのほうが気にかかる。だいじょうぶなのかな。医療措置が必要なはずの病気を見逃すことになっていなければいいけど。

⑤レメディーを利用することでサプリメントの使用頻度はどうなりましたか?

 大幅に減った 71%

 少し減った 17%

 変わらない 12%

これはちょっと面白いかも。市販薬よりもサプリメントのほうが使用頻度は減らないんだ。レメディも一種のサプリメント、みたいに捉えられている(医薬品ではないので)と云うことなのかも。

⑨ホメオパシーのレメディーは誰でも利用することが出来る形が望ましいと思いますか?

 Yes 99%  No 1%

これはちょっと設問意図がよくわからないな。お金があればレメディの利用はだれでも可能だと思うけど(相談会、とか云う話になると時間も必要になるだろうけど)。保険が適用になれば利用しやすくなる、と云う話なのかもしれないけど、先にも書いたけどそもそも厚生労働省がレメディの薬価をどんなふうに算定するって想定してるんだろう。いまの売価と同水準の薬価が認められるのが前提なのかな(民主党政権下ならひょっとすると、って話なのか)。そもそもレメディの価格ってどうやって決められてるんだろう。

⑩ホメオパシーがもっと日本で広がれば良いと思いますか?

 Yes 100%

分母が分母だから、これはこう云う回答になるだろうな。

ちなみにこのアンケート結果、日本ホメオパシー医学協会のウェブサイトでは現時点で情報が見つけられなかった。掲載に手間がかかっている、と云うことかもしれないけれど、現時点では「身内」にあたるホメオパスや利用者にしか調査結果を公開していない、と云うことになる。アンケートが何のために実施されたのか、だれに提供するための情報収集なのか、と云う部分を含めて、このあたりの意図が那辺にあるのかについては憶測するしかないのだけれど。
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亀@渋研X

細かいところで、念頭にはおありなのかもしれないとも思うのですが、9番について、「これはちょっと設問意図がよくわからない」とお書きなので、余計な憶測など。

一読して、ホメオパシーを推進する人たちの中にも、セルフケアを疑問視する人たちがいるためだろうと思いました。たぶん、クラシカルと呼ばれる流儀(?)だと思うのですが、その流儀の人たちにとっては、レメディの処方はホメオパスだけができるものってことになってるはずです。古風なホメオパシー治療は、ホメオパスが患者とセッション(1時間以上の面談)を行って、生育歴からナニから聞き出しますよね。レメディの処方ってのは、そうやって得た情報と奥義書みたいな処方集の情報とホメオパスの修業・経験・練度の集大成みたいなもののはずです。そういう流儀の人にとっては、クライアントがネットで勝手にレメディを選んで買って飲むなんて「あり得ない!」ってことになるのは道理だと思います。

一方で、現代的な流儀だと、その辺はこだわらないから、ああいうショップがあるらしい。多分、プラクティカルと呼ばれる流儀じゃないかな(70年代に出てきたようです。もっとも、この辺、ぼくもよくはわかってません。多種のレメディを同時に処方する現代派と、一度に一種しか出さない古流とか、全体症状の改善に一種類の常備レメディを処方するだけの古流とか、いろんな話があるようです)。

もっとも、絶対これだ、という確信があるわけでもないんですけどね。

ぼくはホメオパシーの効果は、セッションのカウンセリング効果と、「信頼するホメオパスが、自分専用に処方してくれたレメディ」といういかにもプラセボ効果を発揮しそうな絶好の条件をそなえていることがキモだろうとにらんでいたので、ネット通販でレメディを買えると知ったときには、ひどく驚きました。だから、いまもそのことの是非に関する議論があるんじゃないかと思ってしまった、というだけかもしれません。
by 亀@渋研X (2009-11-19 18:41) 

pooh

> 亀@渋研Xさん

ホメオパシーにクラシカルとプラクティカルの2大流派があるらしい、と云うのはぼんやりと把握していました。このふたつは標榜する原理のレベルで対立するものではないか、みたいに思っていたのですが、日本ホメオパシー医学協会(ホメオパシー・ジャパン)の見解としては「効けばどっちでもいい、現に効く」と云うものみたいです。要するにこの団体は組織として公式に「3た論法」を採用している、と云うことのようで。
ビジネスモデルとしては、カウンセリングによる収益を確保しつつ、ネット経由での手軽な砂糖玉販売も重視する、と云うことかと思います。
そこまで考えると「そんなこと訊いてどうするつもりなのかなぁ、どっちに誘導するつもりなのかなぁ」と思ったんですね。なんとなくカウンセリングメインのほうが利鞘が大きい気がしたんですけど、現状のマーケットサイズとも関連してくるだろうし(ひょっとするとカウンセリングに対する保険適用を狙ってるのかな)。

> ホメオパシーの効果は、セッションのカウンセリング効果と、「信頼するホメオパスが、自分専用に処方してくれたレメディ」といういかにもプラセボ効果を発揮しそうな絶好の条件をそなえていることがキモだろうとにらんでいた

ホメオパシーが通常医療を補完しうる機能を持つ可能性があるとすれば、唯一その部分(これは呪術としての機能ですよね)なんですが、支持者・利用者の言説を読んでみてもあんまりそのへんを気にしていないみたいですね。いまのところやっぱりサプリメント感覚のユーザが多いのかな、みたいにも感じます。
サプリメントも天然由来をうたうものが多いじゃないですか。どちらも自然のものだから身体に害はない、みたいな考え方とかありそうな。

> いまもそのことの是非に関する議論があるんじゃないかと思ってしまった

いや、これはあるっぽいですよ。宗派同士での正統争い、みたいなかたちで。
by pooh (2009-11-19 21:17) 

zorori

クラシカル派は「レメディは薬であり、ホメオパシーは医療」と認識していて、医師(ホメオパス)の処方が必要だし、健康保険も適用すべきだと考えているんじゃないでしょうか。ところが、科学的根拠を求められる議論になると分が悪く、そこで「プラセボでも効けばいいのだ」というプラクティカル派が出現したという印象があります。

ホメオパシー擁護の意見を見ていると、その両者の間を揺れ動いているというか、プラクティカル派は科学的根拠を避ける方便で、本心ではクラシカル派であるように感じます。

病気未満の軽い症状にサプリメント感覚で使うのだから、目くじら立てるなという一方で、正統医療や薬は悪く、それに代わるものであるとほのめかしたりします。

このアンケートでも、市販薬や医療機関にかかる頻度を尋ねていますし。
by zorori (2009-11-19 21:42) 

pooh

> zororiさん

これ、オカルトとしてのホメオパシーの歴史と、日本での現状をいったん分けて考える必要があるのかな、とも思うんですよ。

オカルトとして思索が積み重ねられていて筋がいいのはクラシカル派のほうで、その教義のなかから派生してきた新しい解釈がプラクティカル派、と云う流れがまずあるんだろうと思うわけです。いずれにせよその積み重ねがいまでも一定の呪術的効果を持っている、と云うことなんだと思います(どちらもプラシーボだとは認めてないでしょうけど)。

で、それを日本に持ってきたところで、そこには思索の積み重ねなんかはないわけです。科学的ではない、とも主張できないので、アプローチはニセ科学になる。クライアントに効果を示す際に、背景になる考え方がプラクティカル派だろうとクラシカル派だろうと訴求力はあまり変わらない、と云う状況があって、ともかくもそのへんは匂わせる程度で通用させようと云う判断をしてるんじゃないですかね。
by pooh (2009-11-19 22:30) 

うさぎ林檎

こんばんは。

ハーネマンは「レメディーは単一で処方すべきで、それは複数のレメディーを与えた時に作用が予想できないから」と考えたようです。特に一度に大量に与えることは厳に戒めています。元々のお呪いのルールは厳格だったのです。
でもこれだとボロ儲けはできない、後続の人間達にはハーネマン式では困るわけです。そこで「必要最小限、単一処方(クラシカル)」から「多量、多種同時処方(プラクティカル)」が生まれたのは必然と言えます。ハーネマンが晩年ドイツを離れたところを見ると、プラクティカルの発生はハーネマンの存命中だったのかもしれません。

ホメジャが医師法や薬事法についてどう考えているかは由井寅子氏のこれを見てください。
http://www.homoeopathy.ac/rah/index/j01_j.html
見て頂ければ判るのですが、饒舌ではあっても全く質問には答えていません。
私にはまるで納得できない内容ですが、これで充分な人がいることは現実として受け止めるしか在りません。

私はホメジャのホメオパシーを支えているのは、由井寅子氏自身だと考えています。多分ソレは「ホメオパシー」でなくても良くて、ソレが偶偶「ホメオパシー」だっただけです。彼女は(今のところは)そのことをよく承知していると思います、だからこそ厄介なわけですが。実際に経営者として名前を公開していない関連会社の全てに代表権を持っているようですしね(他に表に出て来ていない人もいるようですが)。
ですから、ホメジャのホメオパシーに限って問題を考える場合は、ホメオパシーについての考察をしてもほとんど意味がないんです、きっと。
by うさぎ林檎 (2009-11-20 20:20) 

pooh

> うさぎ林檎さん

ホメオパシー本来のロジックと、日本におけるホメオパシーと云う「ビジネス」を分けて考えるべきだ、とぼくは最近思います。通常医療も充分に発達していない時代にそれなりにシリアスな療法として始まったホメオパシーと、現代日本でいま現在展開されているホメオパシーを同じように扱うのはちょっと間違っている。科学の進歩を背景にすることによって、いまの日本では通常医療が一定の効果と信頼性を獲得できているわけですから。

ここのところあれこれ書きながら理解したぼくの認識では、日本のホメオパシーはホメオパシージャパン系とハーネマン・アカデミー系が2大宗派に見えています。前者は先にも書いたように中心的教義を「3た論法」に置いた教義、後者はアロマテラピーやフラワーエッセンスと習合した、まぁカジュアル癒し系みたいな感じですね。どちらもそれぞれ悪質だなぁ、と思いますけれど、前者のほうがロジックの錯綜に対する批判には打たれ強そうです。

先にも書きましたけど、収益面でプラクティカルとクラシカルのどちらがより可能性が高いのか、は微妙かなぁ、と思います。ただプラクティカルのほうがてっとりばやく日銭を稼げるし、クライアントとの密接に築く必要がないので、死体の山が積み上がったときに収益をとっぱらって逃げ出すのには向いている、と云うのはあるように思います。
by pooh (2009-11-20 22:36) 

うさぎ林檎

おはようございます。

また、こんなのがでました。
JPHMA ホメオパシー利用実態 全国アンケート調査結果
「心の健康へのホメオパシー応用」
http://jphma.org/topics/20091202_anquite/anquite.pdf
http://jphma.org/topics/20091202_anquite/

誰を対象に行ったアンケートかも記載されていないので
>今回の調査結果は、ホメオパシーが、セルフケアにおいてもプロの療法士に
>よるケアにおいても「心」の問題に対して有効であることを裏付けるものと
>なりました。
>また、ホメオパシーは子育てにおける親子での心のケアにも広く応用されて
>おり、精神的なお薬への過度な依存からの自立にも有用なことがわかりました
と高らかに言われても困りますが。

このアンケートのコメントを見ると、軽度であっても精神疾患が疑われる、もしくは治療中の人がいます。これらの人が医療から遠ざかることで、どんな弊害が起きるのかに不安を感じます。
これは私見ですが、こういった方がレメディに縋るようになるのは薬による治療効果が得られない(と思える)ことのストレスも勿論でしょうが、自分の病気(心の病と呼ばれるもの)を受け止め切れていないことが大きいのではないでしょうか。

今朝のNHK朝の生活ホッとモーニングで、フィンランドで効果を上げている自殺防止活動を取り上げていました。一気にココまでのことを実現することは無理でしょうが、もっとメンタルケアの充実が図られない限り、様々な問題を抱える人達を代替医療に押しやることを防ぐのは難しいと感じました。
by うさぎ林檎 (2009-12-03 11:16) 

pooh

> うさぎ林檎さん

この調査、調査対象者がどんな層なのかよくわからないですね。ホメオパシー利用者、であることしかわからない。プロの療法士による活用にも有効、と書いてありますが、どうも対象者がプロの療法士である(あるいは含まれている)ようにも読めないので、なにか根拠が提示されているとも思えない。

ホメオパシーの利用が精神的なケアに有効な場合はあるんだろう、と思います(この場合、ホメオパシーだから有効、と云う話にはなりませんけど)。でも、生物学的な要因に基づく精神疾患には効きませんよね。プロの療法士が使用する場合はそこを見極めてファースト・チョイスを誤らなければ問題ないかもしれないし(それでも、ホメオパシーを選択する必然性はほぼない、と思いますが)、自分で使うのは自己責任、とも云えるかもしれませんが、肉親に使うとか云う場合はまずいかも、みたいに思います。

> 自分の病気(心の病と呼ばれるもの)を受け止め切れていないことが大きいのではないでしょうか。

いやもちろん、精神疾患を抱えるひとにとってそれを受け止めることはそもそもとても難しいことではあるんですけどね。
その部分で充分なケアを必要なひとに行き渡らせるのは(主にリソースの問題で)やっぱりそれなりに難しいことではあるんだろう、とは思うんですが、うむむ。
by pooh (2009-12-03 22:06) 

PPP

イギリスの日本人専用情報サイトでもホメオパシーについて論議しています。

http://uk.mumboandjumbo.com/bbs1/sread_view.php?view_id=35156&page=1&mode=fromlist

http://uk.mumboandjumbo.com/bbs1/sread_view.php?view_id=37810&page=&mode=fromlist
by PPP (2010-05-08 16:47) 

pooh

> PPPさん

いらっしゃいませ。

うぅむ。やはりなんか、日本国内においての議論と似た展開をたどっているように見えますねぇ。
by pooh (2010-05-09 06:18) 

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