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テレキャスター妄言 [音楽あれこれ]

ほんとうにただの妄言なので、このカテゴリにすべきではないような気もする。

某氏からネットで見つけた、テレキャスターを弾いている女の子のイラストを教えてもらった。どうやら「けいおん!」にでてくるバンドでドラムを担当している子に持たせてみた、みたいな設定のイラストのよう(ぼくはマンガにもアニメにも接していないので詳細はわからないけれど、確か亀@渋研Xさんに「けいおん!」のおかげでなぜかジャズベのレフティが売れている、と云う話を教えてもらったような)。
でもってそのひとがなんで教えてくれたかと云うと、ぼくが大昔にテレキャスターを弾く女の子のでてくる小説を書いたことがあるから、だったり。

フェンダー・テレキャスター、と云うのは登場した60年前の時点ではほんとうに革新的な楽器で。最初の量産されたソリッドギターだ、と云うのはよく知られているけれど、なんと云うかそれまでのギター、と云うものの常識を大量に打ち破っている。
それは単に、内部に空洞のないボディを採用した、と云うだけじゃなくて。ボルト止めの指板一体型ネックとか(ヘッドも大胆)、ピックアップのマウントとか、ブリッジのつくりとか、もうまるきり伝統的なギターと違う。
以前きくちまことがどこかで「テルミンが楽器なのは、レフ・テルミンが『これは楽器だ』と言い張ったからだ」みたいなことを書いていたけれど、その話をすればテレキャスターがギターなのは、レオ・フェンダーが「これはギターだ」と言い張って、プレイヤーがみんなその気になったから、なんてことも云えるように思う。
テレキャスターがその後の電気ギターの歴史に与えた影響はすごく大きい。でもって、その気になったギタリストたちがテレキャスターを使ってつくった音楽、と云うのが、その後のポップミュージックに与えた影響と云うのも、相当大きいんじゃないか、みたいにも思う。

ギターの形が女性の体型を模したものだ、と云うことは昔から云われていて、ほんとうかどうかわからないけれど説得力はある。ギター弾きと云うのが多かれ少なかれ、趣の違いこそあれ男女問わずどこか楽器フェティッシュな人種であることとも、このことは関係しているようにも思える(どっちがどっちの原因なのかはわからないけど)。相棒としての、女性。
で、テレキャスターから連想する女性像は、なんと云うか率直でアライヴな女の子で。頑固で融通は利かないけど素直で飾らない、ちょっとぶっきらぼうでストレート、みたいな。だから、共同作業をするときにはあいまいさのないはっきりしたアプローチをしないといけない(ごまかしが通用しない)。で、そうやって考えるとテレキャスターを愛用するギタリストって、なんかまわりくどい言い回しを面倒がって簡潔に直言、みたいなフレージングをするひとが多いようにも思える。
これがストラトキャスターになると、なんと云うかもう少し才気ばしった、いろいろと細かな作業にも対応してくれる相棒、と云った感じ。ただ、なにかをお願いするときにはそれなりの工夫と配慮が必要で、そのあたり上手にやらないとへそを曲げられちゃう、でもうまく共同作業できれば無限の可能性が広がっている、みたいな。
このへん、ギブソンのギターだともっと成熟した女性像が浮かぶ。ぜんぶ云わなくてもわかってくれてちゃんとこなしてくれる、みたいな。レス・ポールなんかまさにそうだし、そこまで重厚なイメージはないけどSGなんかもそう。フライングVやエクスプローラみたいな変形ギターがそれほどとっぴな印象を与えず、むしろクラシックな雰囲気をまとっているのも、どこか共通したものがあるから、みたいに思ったり。
で、このへんはデザインにも音色にも共通して云える。不思議なくらい。

ロックギタリストで、どうしてもテレキャスターが似合わない、と云うひとはあんまり思いつかない(へヴィメタル系のギタリストはイズィ・ストラドリンを例外にあんまり似合わない気がするけれど、それはプレイスタイル的に先に述べたことと関係してきそうな)。で、確かになぜか女性に似合う。同時にキース・リチャーズにもスティーヴ・クロッパーにもジョー・ストラマーにも似合うのではあるけど。レス・ポール派だったチャットモンチーのはしえりが「こっちのほうが似合う」と云われてテレキャスターに持ち替えた、と云う話も聞いたことがあるような(彼女はいまもレス・ポールも弾いているけどね)。
女性ギタリストでテレキャスター、と云うとぼくなんかが最初に連想するのはクリッシー・ハインド。あと奥井香とか、木村カエラとか、アヴリルとか。なんか女性に似合う、と云うののほかに、ヴォーカリストに似合う(そしてロックバンドの女性は多くの場合うたう)と云うのもあるような気がする。
まぁ軽いし、頑丈だし、大仰さがないし、リズム・プレイにはうってつけだし(ソロ・プレイは技術がないと難しいけど)タフな相方、と云うニュアンスがいい感じなのかも。

ところでおもちゃを別にすると、いまうちにあるギターはフェンダー・ジャパンのテレキャスターだけ(アルダー材のローズ指板、ボディにバインディングのサンバースト)。たまにいじっているけれど、いまはアンプも手元にないので、生音しかわかりません。
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あめふりぼし

こんにちは。
いつもくだらない話のあめふりぼしです。

今回のギターの話はよくわかります。
当方「二十とn年」(そのわりにはまったくヘタ)の
ギター暦ですが、3本ほどエレキギターを持ってます(持っていた)。

・グレコのLPモデル(人にあげた)
・ヤマハのセミアコ
・グレコのストラトモデル

こんな感じです。

で、ストラトはアームが欲しくて買ったのですが、正直あまり弾いて
いません。
セミアコと同じアンプで鳴らすとどうしても音が小さい。
スタジオやライブ会場みたいなところで大音量で鳴らせばよいのかも
しれないですが、夜に自分の家でこっそり弾くにはちょっと物足りない。
その点、セミアコはアンプにつながなくてもよく鳴る(あたりまえ)。
poohさんのおっしゃる

>で、テレキャスターから連想する女性像は、

>このへんはデザインにも音色にも共通して云える。不思議なくらい。

のへんの話にまったく感じ入る次第です。
まー本物のギブソン製品を弾いたことはありませんが。
自分はやはり生音派なので、そーなっちゃうのかもしれないですけどね。

で、いまはアンプがないそうですが

http://www.zoom.co.jp/japanese/products/zfx/index.php

こんなのがありますよ。
安いのを探せば1万3千円くらいからあるようです。
自分は楽天で1万6千円ほどで買いました。
今音作りをやってるところですが、結構楽しいです。

うわ、なんか論点がまとまってない。
by あめふりぼし (2009-06-09 08:39) 

pooh

> あめふりぼしさん

ぼくも(日頃あんまり弾かないのもあって)ギターについては下手の横フェチ、みたいな感じです。

ギブソンのギターって、楽器としてまじめにつくってある感じがあって(大昔にちょっとだけレスポールを触ったことがあるんですけど、なんか不可解なくらいにサスティンが伸びるんですよね)。でも、だからと云ってそれがベスト、と云うわけでもない。面白い部分です。ちなみにぼくは高校〜大学までヤマハのSGを弾いてました(現在友人宅にあります)。こいつはなにしろ重かった。

ちなみに、ちょっとだけこれを狙って、おこづかいを貯めようかと思ってます。

http://www.kandashokai.co.jp/zinky/sat_1.htm
by pooh (2009-06-09 21:52) 

あめふりぼし

どーもです。

ご紹介の品はちょっと面白いですね。
ギター弾きはなんかこういうの好きですよね。
音にはこだわるわりに、こういうのもOKという幅の広さとい
うかいいかげんさというか。

ぼくもしばらく弾いてなかったんですが、ニコニコ動画の引
いてみましたシリーズを見てやり始めました。
Zoomのやつと一緒に、こんなんも手に入れてみました。
http://www.glidercapo.com/
(動画つきなので音がでます)

しかし、リズム音痴なんでカッティングが苦手というのがど
うにも克服できません。
もっと練習しなくちゃ。
by あめふりぼし (2009-06-09 22:26) 

pooh

> あめふりぼしさん

ぼくもこのエントリを書いてから、ちょっと久しぶりにテレキャスターをいじってみたんですが、左手の中指と薬指に小さな水ぶくれをつくっちゃいました。
by pooh (2009-06-10 07:26) 

きくち

ごぶさた
レスポールはラウンドトップなので、まだ「ギターっぽい」んですが、テレキャスターとなると本当に「これがギター?」ですよね。
プレシジョンベースと並んで、楽器の概念を変革した偉大なギターだと思います。

テレキャスタイプは持ってないんだけど、欲しいなあとは思います。ただ、使いこなしは難しそう。
テレキャスの演奏で意外なのは、「天国への階段」のソロと「悲しみの恋人たち」ですかね。

ところでSmokey ampはブルース・ズィンキィのデザインとはいえ、遊びで作ったのでしょうか、ずいぶん単純な回路みたいですね。部品を集めれば1000円くらいで作れることは作れる。似たものを作ったことはあります。誰が作っても、だいたい失敗しないタイプ。

by きくち (2009-06-16 02:37) 

pooh

> きくちさん

ギターの形に切った板に弦を張って、「ギターだ」って言い張ってるわけですもんね。でも、ほんとうにそれはギターだった、みたいな。
ちょっと話は変わりますけど、ストラトキャスターのボディデザインも別の意味で革新的。

ソリッド・ギターと云う存在が、ギタリストが「音をつくる」と云う発想に対して影響した部分はけっこう大きいかも、とか思います。逆にテレキャスターらしい音で鳴らされるギター・ソロと云うと、やっぱり「ホテル・カリフォルニア」のエンディングのジョー・ウォルシュのパートを連想するなぁ。

Smokey ampの自作例はずいぶんあるようですが、ぼくは不器用だからなぁ。ちょっとハープに使えないかな、みたいな色気も持ってたり。
by pooh (2009-06-16 07:33) 

きくち

でも、やっぱりテレキャスなら6弦をはずして、オープンGかな。
ロイ・ブキャナンもテレで有名だったですね。

Smokeyにマイクをつないだらどうかということですよね。ハープだから適当に歪むくらいがいいのだろうけど、もしかするとちょっと歪みすぎるかも。ただ、出力が小さいから、生音のほうがでかいんじゃない?



by きくち (2009-06-16 09:16) 

あめふりぼし

どーもです。

ぼくは、たぶんお二方よりは少し世代が後になると思うので
すが、音楽のほうは五目聞きで洋楽は「ベストヒットUSA」と
かのヒットした曲くらいしか聞いてないんで、あんまり深い話
はできないのですが。

ぼくの中のテレキャスはやはり、ジョージ・ハリスンですか
ね。
映画「Let it be」のなかでローズウッドのテレキャスを弾く
姿とか、91年の日本公演でロイ・ブキャナンモデルを弾く
姿が印象深いです。
前のコメントでも紹介させてもらってますが、ZOOMのアンプ
シミュレイターで音作りをしてますが、理想はBeatles初期の
グレッチギターの音なんですよね。
あのカラカラした音が大好きで。
高いからグレッチ買えませんけど。
まー、あのSmokey ampのデモを見ても必要なのは機材じゃ
無くて腕だなーとしみじみ思います。
by あめふりぼし (2009-06-16 21:24) 

pooh

> きくちさん

なんかですね。フェンダー系のギターって、「鳴らさないと鳴らない」みたいな部分があって。こちらが一生懸命アプローチしないと鳴ってくださらない(いや、適当にやっても音は出るんだけど愛想がない。その愛想のなさがいい、と云うプレイヤーもいる、みたいな)。テレキャスターは最たるもので、だから愛用者は朴訥に味で勝負するタイプか、じゃなきゃすごいテクニシャンだったり。
5本弦オープンGは大発明だと思います(あれをやるとひとつのスタイルでしか演奏できないけど)。でもオープンチューニング苦手。

こう、ミシシッピ・サクソフォンは生音だけだと音量でほかの管楽器に負けるのよ。ちょっと洒落になるかな、くらいの感じ。
by pooh (2009-06-16 22:11) 

pooh

> あめふりぼしさん

ぼくはきくちさんと断じて同世代ではないです。と、いちおう主張しておきます。

ローズウッドのテレキャスター、かっこいいですよねぇ。でも、重いって話を聞いたことがあるような。

グレッチはぼくもすごく欲しいです(確かに高くて買えませんけど)。ぼくにとってグレッチはブライアン・セッザーと浅井健一ですけどね。
by pooh (2009-06-16 22:15) 

きくち

僕は最近DADGADチューニングを多用していますが、おもろいです。
ギターの醍醐味はいかに「押さえないか」にあるのかもしらん、と思い中。
レギュラーのときも、極力たくさんの開放弦を鳴らしてみます。ギターは減衰音なので、かなり激しくぶつかる音でも、意外にあっさり聴けたりします。

by きくち (2009-06-19 00:20) 

pooh

> きくちさん

それってCSN&Yとかが使ってたチューニングでしたっけ(うろおぼえ。ちがうかも)。開放弦は昔からお好きですよね。
オープンチューニングって、弦のテンションが変わるでしょ。どうもぼくはそこで調子が狂うんですね。
by pooh (2009-06-19 07:28) 

きくち

CSNYはオープンDとかオープンGとかじゃなかったっけ?
DADGADはデイヴィ・グレアムが発明したと言われるチューニングで、オープンDsus4です。モーダル・チューニングと呼ばれるもののひとつだな。ていうか、ジミー・ペイジが「カシミール」で使ったやつです。

僕はテンションとかあんまり気にしません。指が痛いのはいや

by きくち (2009-06-22 16:38) 

pooh

> きくちさん

モーダル・チューニングってのがわからなかったので、ちょっと調べました。なるほど。なんかアイリッシュな感じなのかな。
そう云えばティンホイッスルはキーDが標準なんだけど(うちにあるのは2本ともそう)、なんか関係ありそうな。

うちのテレキャスターはアーニーボールのレギュラー・スリンキーを張ってます。スーパーライトゲージ世代としては充分に指が痛いです。
by pooh (2009-06-22 21:33) 

きくち

DADGADはアイリッシュな感じにも中近東な感じにも使えます。

by きくち (2009-06-23 01:38) 

pooh

> きくちさん

なるほど。なんとなくつかめたような気がしてます。
自分で演奏する、と云った場合にモーダルなフレーズってのは出てこないんだけどね。
by pooh (2009-06-23 07:25) 

きくち

いや、フレーズはチューニングに導かれるという面があります。
妙なチューニングにしてみると、自分の中に普段はないフレーズが出てきます。

by きくち (2009-06-24 23:32) 

pooh

> きくちさん

なるほどねぇ。いや、ぼくの腕ではそこまではなかなか(^^;。
アメリカ南部にありがちな「微妙に解決しない進行」みたいなのもできるかな。
by pooh (2009-06-25 07:25) 

きくち

ブルースなんて、もともとは「各自違う謎のチューニング」から生まれたはずでしょ
by きくち (2009-06-25 14:40) 

pooh

> きくちさん

まぁそれはそうです。
考えてみるとひごろ、いま自分の弾いているコードのコードネームがなんなのか、とかあんまり意識しないし、みたいな感じかな。
by pooh (2009-06-25 21:30) 

きくち

最近気づいたんだけど、ギターって、弦楽器としてはそうとう特殊じゃない? いや、バイオリンでもそうなんだけど、レギュラーチューニングっていうものがあって、基本的に固定チューニングでどんな曲でも弾くじゃないですか。
だけど、民族楽器って、曲ごとにチューニングを変えるものも多いでしょ。
だから、ギターもチューニングはどんどん変えればいいんだと思うのよ。Sonic youthみたいに

by きくち (2009-06-26 01:07) 

pooh

> きくちさん

楽器として特殊、と云うより、使われ方・アプローチのされ方が特殊なんじゃ、と云う気もしますけどね。これは演奏者がたくさんいる、と云うことにもたぶん関連してて。
こう、正直、チューニングを変えると手癖が使えなくなるじゃない? ここんとこ、認めますけどたぶん腕の差の話(^^;。
by pooh (2009-06-26 07:25) 

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