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2009フィギュアスケート世界選手権女子シングル [みたもの、読んだもの]

J-Sportsでなまで観てしまった。
いきなり余談だけど、ゲデヴァニシヴィリ・エレーネへの歓声のなかにやけに野太い成分が多いのは、ひとりの男としてなんか納得のいくものではあるなぁ。

さて、順位については妥当だと思う。安藤さんが真央を押しのけて表彰台にのぼったのは意外と云えば意外だったけど、彼女ももとチャンプには違いないわけで、番狂わせと云うほどのことではない。あと今シーズンぼくはやっとジョアニー兄哥の凄さを理解したので(いままでが節穴だった、ってだけだけど)この位置にいるのが適切だろうなぁ、とは思う。
でも、あの点差はない。これはもはや、フィギュアスケートの採点システムと云うものの欠陥ではないか、とさえ思う。

先に云うとぼくは選手としては例えば真央よりヨナ・キムの方が好きだ。自分のできることを磨きに磨いて、最高の完成度で試合に臨む姿勢も嫌いじゃない。そして、それが現在のフィギュアスケートの採点システムにおいてもっとも効率のいい方法であることもわかる。でも、それがあれだけの点差となって結実する、となると話が違ってくる気がする。
ヨナ・キムはすでに、女子フィギュアスケートシングルの歴史に語り継がれるべき名選手だと思う。でも、彼女が女子フィギュアと云うスポーツの可能性に関して新しい扉を開くことは、いまのスタンスでは絶対にない。このあたり、チーム味噌カツ魂とも云うべき無謀すれすれの挑戦を繰り返す真央や安藤とはまったく違う。
ジャンルの将来、と云うことを考えた場合に、この部分があまりに得点に反映されないしくみと云うのはどうか、みたいに考えるのだけれど。

チーム味噌カツと云えば、ぼくは名古屋名物ジャンピングビーン、と云う言い回しをネガティヴなニュアンスを込めて使う。でも、そのジャンプそのものが与える感銘、と云うものも事実としてあって(荒川静香の滑らかなスケーティングや好調な時のカロリーナのスピード、と云ったものと同じ次元の要素として)。伊藤みどりや恩田美栄のジャンプにあったその感覚をだれよりも伝えてくれるのは、やっぱり安藤美姫だと思う。
安藤選手はここしばらくないくらい安定した精神状態で試合に臨んでいたように見えた。このあたりに対するぼく個人の思いはちょっと錯綜していて、ドラマを抱えていない状況での安藤なんて安藤じゃない、みたいに感じたりもするのだけど(なんかサディスティックな感じもするな)、でもそのかろやかに垂直に舞い上がる、いまはほかの誰にもできないジャンプを観ることができたと云うだけで、もうなんか納得してしまった。
おかえりなさい、安藤さん。もういちど、これからです。

ぼくが村主選手に感じるのはなによりその強靭なメンタルに支えられたふてぶてしいほどの安定感で、これは例えばリック・フレアーみたいな「ヒール系常勝チャンプ」にも感じるような魅力なんだけれど(褒めてるんですよ)、今大会の彼女にはその魅力があまり感じられなくてちょっと残念。と云うか動揺しているように見える村主章枝、と云うのをみるのがそもそも珍しい体験のような。
やるだけのことはやって、ここまで持ってきたんだろうな、とは思う。でも彼女、これからどうするのかな。

真央は壁に突き当たったのかもしれない、と思う。でもその壁はどの女子選手だってもっと早い段階で、もっと何度も突き当たる種類のもので。その壁が彼女の前にこれまで立ちはだかって来なかったのは、たぶんありあまる才能と(いっそナイーヴなほどに)ぶれのない意思の力、だったんだと思う。
同時に、ぼくはその壁が今年彼女に訪れたことに、いくらか安堵する。来年ではなかったことに。

とまれ、シーズンも終わりです。今年もおもしろかったなぁ。
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