2009フィギュアスケート世界選手権男子シングル

ほんとうはいまごろはもうすこしいろんなことが片付いていて、もうちょっと生活に余裕ができているはずだったんだけど、目算狂いまくりでぜんぜん時間ができない。結局、世界選手権の男子SPもフリーも、つれあいの録ってくれたビデオで主要選手何人かの演技を観るのがせいぜいになってしまった。
でも、なんとなく印象の薄い大会だ、と感じたのはそれだけが理由ではないと思う。ちょっと考えてしまった。
男子フィギュアスケートにおける4回転の意味、みたいなものについて。

もともと得点やスポーツ的な意味合いでの技術みたいな切り口で、フィギュアスケートを観ることはあんまりない。綺麗なもの、かっこいいものが観たい、と云うのがいつも主要な動機で、個々の要素についてもむしろその（見た目の）質、と云うものにまずは目がいく。
でも最近は男子の演技の要素のなかで、クァッドだけはその持つ意味が違う、みたいに感じたりする。それは競技におけるひとつの頂点でもあるけれど、表現の流れのなかでも、なんと云うか強制的にひとつのピークをつくりあげる、そんな力を持っている、と思う。それはたぶん、すべてのほかの要素を圧して高難度だ、と云う事実が、観るものにその選手のフィジカル面での充実度合いとあわせて、なんと云うか気概、とも云うべきものを伝えてくるからじゃないか、なんてふうにも感じる。

今シーズンぼくはだいぶチャンを買っていたんだけど、その個人的な期待にそぐわない演技を見せてくれた、と思う。小塚くんもあいかわらず高品質、とも呼ぶべき滑りを見せてくれた。でも、要するにこのふたりはぼくの好みのスケーターなのだ（いやどうせ好みでしか論じないんだけど）。
自分でも意外だったのだけれど、彼らの演技を含めて滑走順の遅い選手数名のスケーティングを観て感じたのは、高橋大輔の不在感。全体の表現文脈のピークに的確にクァッドを持ってくる（しかも見事に降りてみせる）その演技が観られないことの残念さ、だった。

ところで織田信成がまたジャンプ構成を間違えて、大幅減点で順位が取れなかった。「算数ドリルからやりなおせ」とかつれあいが罵声を浴びせているので、そんなこと云ったって後からジャンプのつじつまを合わせるのって難しいんじゃ、みたいに云ったら、織田が公式戦でこの種のミスをするのは7回目3回目だ、と云うことらしい（Mar. 29, '09追記：織田選手個人としては3回目だそうです。訂正します）。なるほど。しかしもったいない。
やっぱり「殿」って呼ぶのはやめましょう。以前から主張していますが、彼の通称は「織田のうつけ」がふさわしいと思います。

（Mar. 29, '09 一部修正・改題）

タグ：フィギュアスケート

コメント 8

私も昨日のフィギュア男子世界選手権フリー所々観てました``r（＾＾；）ポリポリ
織田くん勿体無かったですね～(￣▽￣;)!!ｶﾞｰﾝ
せっかく4回転成功させたのにまたもコンビネーション１つ多いミス・・・
演技に夢中になって気がつかないのでしょうかね``r（＾＾；）ポリポリ
＞彼の通称は「織田のうつけ」がふさわしいと思います。
ちょっと笑っちゃった(^▽^;)
by あずさ (2009-03-28 08:50) 

はじめまして。
いつも楽しみにブログを拝見していたのですが、一生懸命頑張っている選手に対して、「ドリルからやりなおせ」とか、「織田のうつけ」とかは、ちょっとひどいなと感じて、思わず書き込みをしてしまいました。
確かに他選手のプレッシャーになる順位ではありましたが、それでもブランクを経てのワールド7位は決して悪いものではありません。
男子シングルで、オリンピック3枠を勝ち取ったことは、素晴らしい快挙です。
ミスをしても、7位という順位でも、そこに織田選手が貢献したことは間違いありません。

個人のブログを批判するなんて本当におこがましいことだとはわかっているのですが、いつもとても聡明な文章を書かれている管理者さまだけに、本当に勝手ながら、がっかりしてしまいました。

気持ちを伝えたかっただけですので、このコメントは削除してください。
本当にすみません。


by ヒラリ (2009-03-28 21:15) 

はじめまして。

ただ、失敗も七度目ともなると、それは前の経験から何も学んでないとゆうことで、気にも留めていない素ぶりなのが気になりますね。
by mile (2009-03-28 22:46) 

> あずささん、ヒラリさん、mileさん

いらっしゃいませ。

いやまぁ、例のご先祖さまにちなんだ愛称、と云うことで、とくに他意があるわけではないのですけどね。

まず、気持ちとしてはあずささんに近いものを感じています。今回のフリーそのものは4回転の成功もあったし、とりわけあのやわらかいひざの動きを中心に彼の持ち味である（とぼくが思っている）動作の優雅さみたいなものが存分に発揮されていたと思ったので、とてももったいなかった、と感じました。

演技の途中でミスをリカバリするのはむずかしい（SPではなくフリーでしたから、まだ可能ではあった、と云うことではあるんですが）。ただ今回、例えば今回のフリーでも、小塚くんはそこをきっちり計算して、あとからつじつまを合わせてみせたりしてるわけです。
そう云う力も実力の一部だよなぁ、と思ったのはあったのでした。

ちなみに、7度目、と云うのは誤りで、実際には織田選手個人としては３度目、と云うことだったようです。それでも充分（もったいないので）反省してほしい、と云うふうには思いますけれど。
by pooh (2009-03-29 05:26) 

あのー、意地悪っぽくてすみません。
でも本当のことなので。
ジュニアの公式戦で三回。トリノを賭けた2005年の全日本、2006年の世界選手権、2007年の世界選手権。2009年の世界選手権です。

by mile (2009-03-29 15:42) 

> mileさん

あぁ、じゃあやっぱり7回でいいんですね。シニアになってから３回、と云うことか。ご教示ありがとうございます。

こう云うの、選手の性格もあることなんでしょうね。正直ぼくはあんまり勝ち負けは気にせずに観ている素人なんですけど、彼らはなによりまずアスリートである、と云う部分をちゃんとリスペクトして考えれば、やはりこう云う部分はなんとか克服してくれないと、みたいにも感じますねぇ。
by pooh (2009-03-29 17:54) 

はじめまして。
2005年全日本のときはすでにシニアでしたから、シニアになってから4回ですよ。そのミスのせいで2005年全日本では優勝を逃し、2006年世界選手権では表彰台を逃して、さんざん痛い目に遭っているのに、今回の世界選手権でも同じミスをするとは……。
ここまで学習能力がないと、「うつけ」と揶揄されても仕方がないという気がします。

by sayaka (2009-03-31 12:55) 

> sayakaさん

いらっしゃいませ。

いや、そもそも難しいことだと思うんです。もともと要素で張り詰めている部分に、さらにその場の判断で変更を加えて、実行してみせるわけですから。いまはそこまで求められているとは云え、選手として得手不得手はある部分だとは思います。

うつけ、と云う言い方にはそれほど揶揄を込めているつもりはなくて。「あーあ、しょうがねぇな、もったいねぇなぁ」くらいの思いを込めている感じでした。だってあれは7位の内容じゃないですもん。
by pooh (2009-03-31 21:58)