SSブログ

断言の前に [世間]

quine10さんの疑似科学批判(5) まとめと云うエントリを読んだ。この方は一連の「疑似科学批判」シリーズのエントリを挙げていらっしゃっている。

ただ、どうも「誰のことを云っているんだ?」的印象が否めない。一般論のようでもあり、特定のひとの特定の言説を問題にしているようでもあり。そのあたりを曖昧にすることに、なんらかの意図とか狙っている効果があるのかもしれないけれど。
つまり、疑似科学的志向それ自体を批判するわけにはいかない。
とすれば、自由な社会において疑似科学的なものを批判する上で、どのような形があり得るか?
まずこの部分から、なんか話の前後が逆転しているようで違和感がある。疑似科学的志向それ自体を批判するわけにはいかないと思うのなら、批判しないだけの話で、ふつうはそれで終わりのはず(そこに正当性がないのを本人が理解しているわけだから)。正当性のなさを本人が自覚していてなおそれでも行う「批判」は、そもそも批判ではないだろう。批判の対象そのものに向かわない動機に基づいて、かたちだけ批判に似せた言説を行ってそれを批判であると称するのは、手短に云えば自己欺瞞で。
一つは、その疑似科学自体に他者危害が内包される場合は、疑似科学それ自体を批判する根拠になると思われる(優生思想がその代表格である)。
一つは、疑似科学「を用いて」他者への害をなすということが考えられる。
最後に(これが水からの伝言批判でもっとも重視されているものと思われる)、「疑似科学的なものが蔓延ることによって、人々が健全な思考(批判的思考)を身につけるチャンスを失ってしまう」、という批判が考えられる。
このあたりは、あらきけいすけさんのエントリに触発されてこのあたりで論じた話とも関係している、と思う。で、そのときには「そのあたりも言及しているんだけど、分量的に追いつかない」「論じてもその部分については相対的にリーチが足りない」みたいな議論にもなった(コメント欄参照)。継続的にニセ科学批判にコミットしている論者がこのあたりでどんな議論をしていたのか、どんな認識を共有しているのか、がquine10さんに伝わっていないと云う事実そのものが、なんかそのままリーチの問題につながっているようで複雑ではあるけれど(でも、ぼくとしてはそのあたりの経緯も踏まえないで論じているquine10さんのスタンスも如何なものかな、とか思うけれど。ある程度一般的に敷衍可能な主張をされているおつもりなのであれば)。
少なくとも、水からの伝言へ言及したブログの糾弾は、このような目的に適うものではないと断言できる。いかなる糾弾もその対象を萎縮させるという効果以外は持ち得ない。萎縮は、それを正面から取り上げるという機会を奪ってしまいがちである(臭い物に蓋、という条件反射を起こしがちである)。
糾弾と云う非常に強い意味を持つ言葉をお使いだ。素直に読めば「一般的なニセ科学批判の言説が糾弾としてのスタンスで発話されている」と云う理解のうえにこのエントリの主張が成り立っている、と読める。で、端的に云ってこれは事実誤認、と云うか間違いだと思う。
おそらくは相当にオフェンシヴな論者と見なされているとおぼしきぼく自身のニセ科学批判に分類される言説も、そのほとんどは糾弾ではないし(もちろん糾弾にちかいニュアンスを持つ場合もある。それは当然、批判対象の言説の内容やスタンス、立ち位置によって変わってくる)、その対象を萎縮させるという効果を生じさせたことは、ぼくの記憶では、対象と対話が成立していくらかでもみのりある議論が可能になったことよりもまれなはずだ。
このあたりはまぁ、ぼくのスタンスが特定個人の考え方に対する批判、と云う方向にあまり向けられていない、と云うことにも関わってくるのだけれど(向けられていないのはおもに適性のなさ、と云うか力量の不足を自分で認識しているからだったりする)、例えば同様に継続的にニセ科学批判にコミットしている論者でも特定個人との議論と云う部分に重きを置いているかたは、いかに糾弾に陥らず、相手を萎縮させることもなく有効に対話を成立させるか、ということについて心をくだかれている(lets_skepticさんの一連の論考をまずは参照していただきたい)。
とりあえずお手軽に断言するまえに、このあたりのことについても踏まえてから発話してほしいなぁ、と思う。特定の誰かの特定の言動、と云うことが示されていない以上、ここでquine10さんがのべられたことは、それを読むひとが「疑似科学批判」として認識しているものすべてにおしなべて向けられているもの、と捉えられて当然なのだから。

と云うかまず、もの申す前にせめてFAQまとめwiki(Aug.13,'08修正)くらいは読んでいただければうれしいなぁ、とか思う。
あれ。この結論は、少し前にニケさんのエントリに言及したときと同じだったりすることであるなぁ。
nice!(0)  コメント(37)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 37

TAKESAN

今晩は。

私は、さほどの違和感は覚えませんでした。
恐らく、quine10さんの論考が、ニセ科学批判一般に対して批判的に向けられているというより、ある特定の話題を想定している、という風に読めたからだと思います(後者については、当然、なされている評価が妥当かは、私は知りません)。
その上で一般論(ニセ科学論をさらに一般化した論)を主張されているので、たとえばaliceさんが書かれるような論考に近いような気がします。

もちろん、真意は解りませんが…。
by TAKESAN (2008-07-11 23:57) 

pooh

> TAKESANさん

いや、特定の話題を想定しているのだったら、そう書かないとふつうはわからないじゃないですか。仮にぼくやTAKESANさんに分かったとしても。

そう書かない理由がどこにあるのか分からないですけど、言説単体としてみればちょっとevilな手法だと思います。
by pooh (2008-07-12 00:09) 

TAKESAN

あ、もちろんです。私は、「という風に読めた」、と書きましたので…。一応、どういう意図で書いたのか、という推測を主にしたつもりでした。
他の人にどう読まれるか、というのを考えると、あまり解りやすいものでは無いと思います。
by TAKESAN (2008-07-12 01:19) 

田部勝也

田部勝也です。

>少なくとも、水からの伝言へ言及したブログの糾弾は、このような目的に適うものではないと断言できる。いかなる糾弾もその対象を萎縮させるという効果以外は持ち得ない。

自分がしでかしてきた事、特にここ数週間でしでかした事を振り返ると、どしても「これは自分の事?」と萎縮せざるを得ないのですけど、ならば、私が、糾弾した相手に対して直接、
--------------------
ですから、そんな許し難い「ニセ科学」を弁護・擁護する態度を取った人たちに「愛」を注ぐなんて聖人君子のような真似は、少なくとも私にはできません。そして、存在しない「愛」を装って接するような偽善的な真似も、少なくとも私にはできません。そういう人間は多くはないのかも知れませんが、そういう人間がいる事だけは知っておいて欲しいと願っています。

もちろん、そんな許し難い「ニセ科学」を弁護・擁護する態度を取った人たちに対してさえ、「対話」を試みる人たちはたくさんいます。もしかしたら、あなたが接してきた「ニセ科学批判者」はそういう人たちだったのかも知れません。
私の目には、そういう人たちは、あえて喩えれば、自分の大切な家族を陵辱した人・しようとする人を前にして、それでも相手を傷つける事なく優しく対話し共感を得ようと試みている人たちのように映ります。もしそういう人たちに「愛」を感じないと非難するのだとしたら、それは人間の限界を超えた要求のように、私には思われます。
--------------------
と書いたのは見ているはずなんで、quine10さんが勝手に想定した「このような目的」が、私の目的といかに乖離しているかは容易に理解できるでしょうから、やっぱり私の事を言っているわけではないんだな──と、安心しました……安心して、いいんですよね?
by 田部勝也 (2008-07-12 05:29) 

pooh

> TAKESANさん

あぁ、わかってますとも。

ただですねぇ。この水準の言説は、結果として問題の矮小化を生ぜしめると思うんですよ。意図してやっているのならそうとう悪質だし、そうでないのならもっと救いがたい。
by pooh (2008-07-12 08:45) 

pooh

> 田部勝也さん

田部勝也さんの言動を「糾弾」とするのは適切ではないと思いますよ。だいたい田部さんは一連の発言のなかで、個人性を手放してはいないわけですし。

と云うか、この種の言説はなんらかの理由で「誰のことを云っているのか」をあいまいにすることが多いようです。一般論であれば一般論、個別の議論であるならそれで、意義のある言説のために求められるものは違うはずなので、逆にそこを詰めて考えないまま発話の体裁を整えようとするとこう云うことになるのかな、みたいに思ったりします。読む側としてはどうにももやもやして居心地が悪くなるんですけどね。
by pooh (2008-07-12 08:52) 

alice

>TAKESANさん

最初のTAKESANさんのコメントで、一応ちょっと気になった点をば。

quine10さんのエントリは水伝騒動のきっかけとなった出来事を元に書かれたと想像します(先方のエントリ内最後の方に「まあ、言いだしっぺの本人が「私闘」宣言をされてしまったようで、僕のまとめも無駄になったような気もするのですが…」と書かれているため)。

一方私のエントリは、水伝“騒動”を絡めた部分はまったくないつもりなのですが、そう読み取れる部分があったらお教え下さい。

by alice (2008-07-12 13:11) 

TAKESAN

今日は。

>aliceさん

▼▼▼引用▼▼▼
一般論(ニセ科学論をさらに一般化した論)を主張されているので、たとえばaliceさんが書かれるような論考に近いような気がします。
▲▲引用終了▲▲
「aliceさんが書かれるような論考に近い」は、「一般論(ニセ科学論をさらに一般化した論)を主張されている」の部分に掛かっている、と読んで頂ければ。想定したaliceさんの論考はこちらです(それと、このaliceさんのエントリーに関する私のブログでの一連のやり取り)⇒http://d.hatena.ne.jp/alice-2008/20080621

答えとしては、「aliceさんが水伝騒動と絡めた言説を書いたと言ってはいない」、とでもなるでしょうか。とは言え、どう考えても私の書き方がおかしいですね、すみません。
by TAKESAN (2008-07-12 13:35) 

alice

>TAKESANさん

お答えありがとうございます。きっとそういうことだろうと想像しておりましたが、万が一TAKESANさんのコメントを見た他の人が、私も水伝騒動に絡めたエントリを書いていると勘違いすると嫌だなぁと思いまして。
ひょっとして私、何か書いたっけ?と一瞬ドキドキしてしまいました。(読み直した(^^;))
そうでなくて良かったです。

by alice (2008-07-12 14:04) 

TAKA

「皆さん、糾弾していますか?(-_-」「は~い(^^(^^」

萎縮して考えてみますた(^-^。
リンク先より
>「疑似科学的なものが蔓延ることによって、人々が健全な思考(批判的思考)を身につけるチャンスを失ってしまう」、という批判が考えられる
>これに対して、正面から反論することは難しい(というより、僕自身も一般的な疑似科学批判が説得力を持つとしたら、この文脈しかないと考えている)

ええとたしか、「私の研究分野に影響が出る。ていうか、迷惑なんじゃ!( ゚Д゚)ゴルァ…」という理由も有った様な。その時私は、「ああ、なるほど。正しい科学に向けられるリソースが減るかも。ニセ科学が今よりももっと、世間に拡がってしまったら。かも。」 と一人納得していたのですが、あれは気のせいだったのカシューチャ(-_-;?

>疑似科学は批判的思考の訓練の絶好の教材であるらしい

ええとたしか、(以下略)

>人々が批判的思考を身につけることによって、上記の疑似科学「を用いた」害は徐々に減らしていけるだろう

『アタック25な学校』
K先生「強靭な批判精神を持った有名な御方といえば、誰?」
生徒S「は~い。ssfs2007さん。」
生徒A「は~い。ABO FANさん。」
生徒F「は~い。某Fさん。」
K先生「正解。その通り。ハンター、チャンス。」

なんだか修行中の私にも、今すぐニセ批判を行えるような気がしてきました。批判精神だけで、事足りるのなら(-_-。

poohさん
>この種の言説はなんらかの理由で「誰のことを云っているのか」をあいまいにすることが多いようです

疑心安心「論の弱さを指摘されたくない。受け止める覚悟が無いからだ。ぼやけた主張をするならば、相手の批判もまた、ぼやけるだろう。そして私の主張が、完全論破される事も無い。安心して、周りを見下す事が出来る。」
一人霧中「負けるのが怖い。他の誰でもない、私自身が嫌な思いをするからだ。永遠に自論と共に生きる。あの崖の下の、この谷底の上で。」

「プロジェクトは、崩壊した。皆、去った。」『机上のレス』参考:地上の星
レスの中のすばる 砂の中でROMる みんな何処へ行った 批判返す事も無く
崖の縁の論者 谷底の尻馬 みんな何処へ言った 自論捨てる事も無く 
名立たるものを折って 議論の腰も折って 人は皆 凍りついてる
通夜火よ 暗いとこから 照らしてよ 机上のレスを
通夜火よ 貴重な椅子は 今どこに有るのだろう

~~~~~~~~~
ああ、ぼんやりしたレスの、なんと心地良い事よ。私は一生このまま、朽ちるのだ。誰からも、批判されること無く。
by TAKA (2008-07-13 06:54) 

pooh

> TAKESANさん、aliceさん

じつはぼくはTAKESANさんがどうしてaliceさんのお名前を引き合いに出したのか真意が掴めてなくて、とくにその部分には触れていなかったんですが、なんとなくそれが分かったような気がします(ぜんぜん的外れかもしれませんが)。

たとえばぼくとaliceさんって、同じ問題を見ていても、そこのなかに含まれている要素のどれに着眼するかとか、その問題のスコープをどれくらいのものとして把握しようとするかとかの部分で、けっこう明解に違うじゃないですか(いや、違ってあたりまえなんですが)。で、そうするとどこかで、明確な意見の対立が生じることはたぶんあるわけです(いや、あっても当然なんですが)。で、そう云う部分をTAKESANさんはquine10さんの問題把握と、それに対するぼくの異議申し立てとのあいだに見たのかな、とか思います。

でもぼくは、ぼくとquine10さんの間にあるのは問題意識の質的な違いによる考え方の違いじゃないと思っているので、その辺がすぐには分からなかったのでした。どちらかと云うと単に「ちゃんと状況を踏まえないで適当な考察をしないでほしいな」と云う感じに近いので、これはむしろTAKESANさんの日頃のスタンスに近いものなんじゃないかな、みたいに感じます。
by pooh (2008-07-13 08:13) 

pooh

> TAKAさん

いや、実際のところはわからないんですけどね。
ただ、はっきりとスタンスを示すのは怖いことで、その感じは理解できるものです(いや、quine10さんがそうだ、と云っているわけではないですが)。
by pooh (2008-07-13 08:15) 

quine10

Poohさん、はじめまして。
エントリーに取り上げていただいて恐縮です。
エントリーを読ませていただいて、自分のエントリーの修正の必要は特に感じませんでした(必要を感じたらエントリーを上げるかもしれません。そのときはトラックバックさせていただきます)。
本文へのコメントの必要性も特に感じませんでしたので、「もの申す前にせめてFAQくらいは読んでいただければうれしいなぁ」に反応します(僕のエントリーはこれは踏まえておりませんでした)。
以下、スルーしたところは特に異論はないと言うか…

『そんなものに関わるより科学者としての本業に専念しろ』

>本業というが、社会に貢献する事も科学者としての責務であると考える。社会の科学リテラシーを高めるのも、広い意味では科学者の「業」に含まれるのではないか。

いやぁ…この辺りはびみょ~だなぁ…
社会の科学リテラシーを高めるというのが、例えば、市民から「是非疑似科学講座をしてください」という要望がある前に、「オラオラ、こらが科学だ、ニセ科学なんざとっちめてやる」ってことだとすると、些か欺瞞に感じてしまうな、僕は。それじゃ科学は警察と変わらない。

>自分は科学者である前に一人の社会人である。勿論科学に関する知識はあるので「科学に詳しい個人」としてウソをウソだと指摘しているだけである。

まあ、これについてはさして大きな異論はありませんがね。
ただ、う~ん…ウソをウソと指摘してどういう効果があるんだろう?効果はないけど、ウソをウソと指摘せずにはいられないと言うことだろうか?(それなら単に利己的な動機と言うことになりますが…)
あと、一点。「○○は疑似科学である」と「○○という疑似科学を喧伝した××はケシカラン」は本質的には違います(一般的には後者を糾弾と言うでしょう)。で、件のブログエントリーは後者に重きを置いているように感じました(それへの違和感の表明ではあります)。一応狡賢く(?)「そもそものブログエントリーが糾弾的なものだったかというところは僕も自信をもって言えるわけでもないですけど。」とお断りは入れておきましたけどね。

>ニセ科学が跳梁跋扈する社会は、科学者にとって非常に住み難い社会だし、

えっと、科学者はそこまでジコチューなのかなあ?科学者にとって住みやすくなる社会にカイゾーせねばならないってことでしょうか?
科学者にとって住みよい社会が、他の人々にとって非常に住み難い社会であったらどうしましょう?

>多くの人も知らないうちに科学の恩恵を受けられなくなるだろう。

これもまた恩着せがましいと言いますか…
「オラオラ、いい暮らししたいんなら、科学者にとって住みやすい社会にせんかい」ってことでしょうか?だとしたら、まるっきりヤ○ザですね。
気に食わなけりゃ科学者なんて不自由な仕事、止めてしまえばいいのに。

>類は友を呼ぶものだ.

類が友を呼んじゃ悪いのかぁ?
この辺りも類が友を呼んでいるような…(失礼?)

>ただあまり興味がないのなら、
>わざわざ批判活動を邪魔するようなことはしないでおいて欲しい。

これは仰る通り。
僕は別に邪魔をするつもりはなく(邪魔と感じたらごめんなさい)、チト行き過ぎがあると感じている部分に違和感を表明しただけですので(完全に利己的な動機です)。

 『そんなやり方じゃダメだよ…"批判の仕方"批判』

>半信半疑or軽く信じてるくらいの人が判断するための材料を提供しているのだ。

この辺りは、aliceさんへの応答というエントリーで述べた

したがって、僕の関心は、「疑似科学に今後嵌り込んでしまうかもしれない人をどうするか?」、ということになります。

と共通する部分があるかもしれません。

 『○○がニセ科学かどうかにあまり興味がない?人による "仲裁"』

>相対主義の悪用・誤用
>まず「科学(特に自然科学)」とは我々の生きている世の中の仕組みを解明し記述する学問だといえる。

自然科学については、「客観的事象(物の世界)について」、という注釈を入れておいた方が良いと思います(そこには価値の入り込む余地はない)。
人文・社会科学的なものはどうしても価値が入り込んでしまう(というか価値が枠付けると言うか…)。なかなかうまい言い方ができませんが、「価値から逃れられない」、と取り合えず申しておきます。である以上、単に「世の中の仕組みを解明・記述する」で済ますわけにはいかない。
心理学は位置的にはびみょ~ですね。

>そうした科学の営みが人類の発展に多大な貢献をしてきたというのは紛れも無い事実なので、科学は尊重されているのである。

まあ、僕も科学を尊重する一人ではありますね(科学の成果を全身に浴びていることは間違いない)。
しかし、「科学が尊重されている」ってことと、「科学者の言うことはよーく聞きなさい!」ってこととは違うと思う。
農業で汗水たらして「科学者も食べる」農作物を作っている農夫や、海上で命の危険と戦いつつ「科学者も食べる」魚介類を取ってくる漁夫や、その他大勢のスポットライトを浴びることのない労働者と比べ、科学者の貢献がどの程度多大なのか僕にはよく分かりません。

>科学の枠内で扱える問題について、間違っているものに対して「間違っている」と指摘する事には何の躊躇いも要らない。

そりゃ、そうでしょうね。
しかし、そのあり方は自由主義社会においては、当然検討されなければならない、とゆーこと。

以上です。僕の問題意識の参考になれば。
疑問点などあれば、お気軽に。
by quine10 (2008-08-08 23:01) 

quine10

田部勝也さん

失礼な言い方かもしれませんが、あなたの記事のことは念頭にありませんでした。
ただ、僕の言い方は、特定のブログというかブログエントリーが想定されてはいますが、できるだけ一般化できる形で書いたつもりではいます。

それでは。



by quine10 (2008-08-08 23:06) 

PseuDoctor

こんばんは。

>Poohさん
本文中で「FAQ」と記してリンクを貼られたのは「ニセ科学批判まとめ %作成中」のサイト全体を指しておられるのですよね?どうもquine10さんはサイト中の「FAQ」と明示された部分「だけ」をお読みになってコメントされているように思えました。

>quine10さん
上記の質問に対するPoohさんのお答えがどうであれ、私としては当該サイト全体をお読み頂きたいと思っています。そうすれば、quine10さんのお持ちである違和感もかなり解消されるだろうと推測します。
by PseuDoctor (2008-08-09 01:38) 

TAKA

poohさん、こんにちは。長くて不思議なコメントは、好きですか?私は好きです。新しい地平が開けるからです。以下、不思議な旅の始まりです。

>例えば、市民から「是非疑似科学講座をしてください」という要望がある前に、
>「オラオラ、こらが科学だ、ニセ科学なんざとっちめてやる」ってことだとすると、
>些か欺瞞に感じてしまう

「ニセ科学な言説」を主張している人が、時間的に先に存在している事実が有る。その人に対して、「いや、こことここの部分、違いますよ?訂正してちょ」と、まずは指摘。それでも相手が、「はぁ?聞こえませんな。ウフフ♪(^^」という態度に終始した時、初めて第三者の人たちに、「あの主張は、こことここがマルデダメ男なのですわ。良い子の皆さん、お気をつけあそばせ?(^-^」「は~い、先生。後で復習しておきま~す♪(^^(^^」と成る。

>ただ、う~ん…ウソをウソと指摘してどういう効果があるんだろう?

【ニセ科学な話題を萌え萌えで追求する人々。略して「ニセモン」。今、新たなニセモントレーナーの旅が、始まる!】

新人のニセモントレーナー「ホーフ」君
「マルチ商法の人から、餞別に只で貰ったアガリクス。この健康食品の能書きは、本物?まさか、健康リスクが上がりスク?バジリスクはトカゲで、ロマネスクは建築で、ロマネコンティは」
先輩トレーナー「アスミ」
「いいから、早く厚生労働省のサイトで調べなさい。初日からそんな事じゃ、立派なニセモントレーナーに成れないわよ。」
ホーフ「なんか迷った。滝を発見!ん?あのマイナスイオンの気分爽快な滝の能書きは、気分次第なの?ていうか、私はどこ?ここは誰?」
ニセモンチェイサー「マガイ」氏
「道に迷っているようだな。ニセかどうかも分からないまま、旅立つのは危険だぞ。取りあえず、信頼できるプロの案内人の意見を参考にしておけ。メモっておけば安心だ。持っている地図と照らし合わせながら進めば、迷う可能性も少しは減るだろう。」
ホーフ「ありがとう(^^。できれば今、一から全部教えてくれると、助かるかも♪自分で調べるのも、面倒なので?(^-^」
マガイ「前途多難だな。お前の旅も」

>えっと、科学者はそこまでジコチューなのかなあ?科学者にとって住みやすくなる社会にカイゾーせねばならないってことでしょうか?
>科学者にとって住みよい社会が、他の人々にとって非常に住み難い社会であったらどうしましょう?

モグラ達「そうそう。農家の畑を私達がいくら荒らそうと、世の中大して変わりませんよ?(^-^」
モグラ達「というわけで、我等の住みやすいように好きなだけ、穴を開けさせてもらうよ?(^-^」
オオヤマネコ「果たしてその理屈が、人間達に通じるかな?」
モグラA「いや、気に食わなければ人間達のほうが、不自由で面倒くさい畑作りを、一切止めてしまえば良いんですよ?(^-^」
モグラB「え?それでは作物が取れずに困る人が居る?そんなの、私たちの知る所では無いですわねぇ~(^-^。」
モグラB「そうですわねぇ~♪(^^。どこか他所に行けば、良いのですわねぇ~♪(^-^。」

>類が友を呼んじゃ悪いのかぁ?
>この辺りも類が友を呼んでいるような…(失礼?)

ホーフ「ブーメラン、ゲットだぜ!」
アスミ「すでに持ってるでしょ。ていうか、まだ一体もニセモンを見つけないで、何ゲットしてんの!」
ホーフ「イチャモン、ゲットだぜ!」

>僕は別に邪魔をするつもりはなく(邪魔と感じたらごめんなさい)、チト行き過ぎがあると感じている部分に違和感を表明しただけですので(完全に利己的な動機です)。

poohさん、ごめんなさい。
今回は完全に、私の自己的な動議です。
悪気があった訳ではないのです。
よく知らないまま、想像を膨らまして言及していたんです。
すでにニセ科学について、色んな人たちが議論をしていた事実。

多くの先輩たちが、「コピペ君」や「詭弁君」や、「ニセ科学批判批判君」や、『あの記事は悪くない!とにかく、あなた方の批判の仕方が100パーセント良くない!…絶対に。絶対にっ!イエス!イエスッ、イエスッ、イエス!(参考:定岡元巨人投手)』な「擁護君」と対峙してきた、その過去。
少しでも先に調べていたら、もっと的確なコメントが、書けていたはずなのに。

…でも。
ブログ主さんも読者の方も皆さん、違いの分かる立派な社会人のはずです。
知らずに書いたんだから、許してくれますよね?
世間知らずで軽はずみな、この僕らのモグラたちを。(やっと前振り終わり^^;)

『モグラに一つ地下の穴』参考:世界に一つだけの花
ブログの記事後(あと)に並んだ 異論なレスを見ていた
論それぞれ矛盾があるけど どれもみんな詭弁だね
この中で僕が一番だなんて うそぶく事もしないで
自論の中誇らしげに ちゃんとコピペを張っている

それなのに君ら人類は どうして根拠を知りたがる?
一人一人違うのに掘り起こし 批判に成り下がる?
そうさモグラは 地面に一つだけの穴 一人一人違う憂さを持つ
その憂さを晴らす事だけに 一生懸命に成ればいい

埋まったレスに笑いながら ずっとROMってる人がいる
頑張って読んだ論は どれも詭弁だから仕方ないね
やっと記事から出てきた 沿う意図が抱えていた
色とりどりのニセ物と 寂しそうな横レス

事情も知らなかったけれど あの日レスに僻み暮れた
ブクマされない墓地の隅 置かれた花のように
そうさモグラは 詭弁にすがるだけが華 一人一人違う憂さを持つ
その憂さを晴らす事だけに 一生懸命に成るがいい

哀れな憂さや「はぁ?」な憂さ 一つとして同じものは無いから
嘆く必要は特別も無い モグラは僕らの鏡台さ

~~~~~~~~~~~~
>科学者の貢献がどの程度多大なのか僕にはよく分かりません。

科学素人のワタシも、「同感なのー。ですわ!」なのデース。世界中に張り巡らされたと言う、このインターなネットは、果たしてどんな科学の成果で出来ているのか、さっぱり分からないのデース。「医学の進歩により、人の寿命が以前より延びますた」と科学な人達は言いますが、やっぱり「なぜじゃろな?」なのデース。

読者「なぜお前は、そんなに分かっていないのか?」
ワタシ「その理由は簡単なのデース。」

【知ろうとしないから。】

なのデース。
by TAKA (2008-08-09 04:44) 

pooh

> quine10さん

いらっしゃいませ。
このエントリについては書いた時点で数回トラックバックを送信したんですが、何度やっても届かなかったんです。今回再度試みたら届いた、と云うことなので、タイミングのずれはご容赦ください。

> 自分のエントリーの修正の必要は特に感じませんでした

修正していただく必要はありませんが、「必要を感じない」のはquine10さんが、ぼくが本文で書いたようなevilな手法を意図的に使うのを厭わないような不誠実な論者であることをご自分でよしとしてらっしゃるから、だと理解してもよろしいのでしょうか?

あと、FAQについては、PseuDoctorさんのおっしゃる通り、挙げたサイト全体のことを意味します。今回のコメントで示していただいたそれぞれの見解について反論することもできますが、理解が浅いままの状態で示された反論である、と解釈して、今回はよしておきます。
ぜひ、全体をお読みください。簡にして要を得た内容になっていると思いますので、それほどお時間をとらせることにはならないと思います。

あと、田部さんへのレスですが。

> 僕の言い方は、特定のブログというかブログエントリーが想定されてはいますが、できるだけ一般化できる形で書いたつもりではいます。

特定のエントリの内容から一般に敷衍できることがらを抽出して論じるのと、ただ単に特定のエントリに書かれたことやその姿勢をそのまま全体にあてはめるのとは違います。前者に読めるような書き方で後者の内容を発信するのは、控えめに云って詭弁としても不誠実だと思います。
by pooh (2008-08-09 05:50) 

pooh

> PseuDoctorさん

ぼくの書き方が悪かったかも、ですね。
全体をお読みになって、少なくともコメントでお書きになったような反論をquine10さんがひととおり撤回してくださるようならいいのですが。
by pooh (2008-08-09 05:52) 

pooh

> TAKAさん

うがが。ポケモンはフォローできんです。

> 【知ろうとしないから。】

知らずに論じることが一概に悪いとは云えないかもしれませんが、それってどこまでも単なる迷惑な放言以上のものにはならないですよね。
by pooh (2008-08-09 06:00) 

黒猫亭

批判対象の言説は精読する必要を認めない。だって批判対象だから。同様に、妥当に理解する必要も認めない。だって批判対象だもの。曲解する余地があれば曲解するし、付会する余地があれば付会する。だって批判しているんだから。

こういう姿勢の批判に対して「反論する」ということを、そんな姿勢の論者が理解しようとしないことを理解したくなるように懇切丁寧に説明し、自ら対立意見を受け容れたくなるように親切に説得して納得させてやることだと考える。ボクを納得させてみろ、ボクが納得しない限り、あんたらの意見は間違っている。

そんなふうに考える人が多すぎませんかね。そんな自分だけに一方的に都合の好い設定のゲームなんてどこの世界にあるんですかね。

その論者が不特定多数に向けてユルい姿勢で語った言説について、それを厳密に検証した反論を同じく不特定多数に向けて語る。その妥当性をジャッジするのは、双方の言説を読んだ不特定多数の第三者である。この場合、論者同士は向かい合って互いに直接対話しているわけではない。

それだけの話なんであって、不誠実な論者自身の個人的な納得なんて誰も意義なんか認めていないし、求めてもいない。あえて言えば、誰も「その必要を認めていない」ということですね。
by 黒猫亭 (2008-08-09 14:23) 

TAKESAN

言って無い事を前提として論を組み立てて云々されるほど面倒な話は無いなあ、と思う今日この頃です。
もしかすると、論宅さんの域まであと一歩、なのかも知れません。
by TAKESAN (2008-08-09 19:12) 

A-WING

>ウソをウソと指摘してどういう効果があるんだろう?

quine10さんには、教育とか、提言とか、予防とか、啓蒙とか、そういう概念はないのでしょうね。ではご自分がブログで意見を述べられてるのは何のため?って思いますが、あれはきっと独り言なのでしょうね。
独り言は、見えないところでやったほうがいいですね。

by A-WING (2008-08-09 20:51) 

PseuDoctor

>Poohさん

>ぼくの書き方が悪かったかも、ですね。
恐縮です。いや、むしろ、申し訳ありません。
止むに止まれぬ心情だったとはいえ、Poohさんちの軒下で差し出がましい口をきいてしまったという自覚はあります。その点は反省しております。
と言った舌の根も乾かぬうちに何ですが、もう一度同じ状況に置かれたら、やっぱり同じ行動を取ってしまう様な気もします。
by PseuDoctor (2008-08-09 21:51) 

pooh

> 黒猫亭さん

> 不誠実な論者自身の個人的な納得なんて誰も意義なんか認めていないし、求めてもいない。

まぁそれでも、ご存知の通りぼくは対話でなにかが生まれることをつねに期待はしているんですけどね。

ただ、ぼくの言及に対してとくに釈明の必要を感じない、と云うのはそのまま自分の言説の不誠実さを認めることになってしまうので、今後のことも併せて論者としてけっこうまずいんじゃないかなぁ、と云う気がします。
by pooh (2008-08-09 22:07) 

pooh

> TAKESANさん

どうなんでしょうね。
具体的に意義を持つ議論をしたい志向を持つ論者と、たのしく論をぶてればそれでいい方がいらっしゃいますし。
後者の方は、批判と云うスタンスには立たないほうがいいと思うんですけどね。実質的に無意味な主張も、読むひとがいるので。
by pooh (2008-08-09 22:11) 

pooh

> A-WINGさん

いやそれでも、上手にミスティフィカシオンすれば本気で受け止めてくれる読み手もいるわけなんですよ。
これもこれで、動機はなにか、と云う話につながってくると思うんですが。
by pooh (2008-08-09 22:19) 

田部勝也

田部勝也です。

>quine10さん「失礼な言い方かもしれませんが、(後略)」

どこをどう解釈すれば、quine10さんの(2008-08-08 23:06)のコメントが、私に対して「失礼な言い方」になるのか皆目見当がつきません。
意図せず知らず知らずのうちに自分が他人に対して失礼な言い方をしてしまう事はできるだけ避けたいと思っているので、後学のために、あのコメントのどこをどう解釈すれば、「失礼な言い方」と私が受け取る事が可能なのか、誰か教えていただけると幸いです。

なお、quine10さんの(2008-08-08 23:01)のコメントが大変失礼である事は、私にも理解できます。また、(2008-08-08 23:06)のコメントも、poohさんが(2008-08-09 05:50)のコメントでおっしゃった意味で大変失礼なコメントである事も理解しています。
私が知りたいのは、quine10さんの(2008-08-08 23:06)のコメントが、なぜ、「私に対して」「失礼な言い方かもしれませんが、……」と断る必要があったのか──という事ですので、みなさん、ひとつよろしくお願い申し上げます。

余談ですけど、コメントにリンクできないのは不便ですね……。
by 田部勝也 (2008-08-09 22:22) 

pooh

> PseuDoctorさん

いや、コミットしてらっしゃる方としては当然だと思います(ぼくも意識のうえではコミットしている人間なので)。

読んでくださるといいんですけどねぇ。
by pooh (2008-08-09 22:23) 

pooh

> 田部勝也さん

> コメントにリンクできないのは不便ですね……。

そうなんですよ。仕様上、各コメントにアンカーがつかないんですね。
自分でも不便だと思うことがあります。ご容赦ください。

ちなみに、quine10さんには失礼かどうかと云うより、論者としての発話のスタンスを問われている(ご自分の言説を意義のあるものとして捉えてもらえるかどうかを問題にされている)ことの切実さを感じていただければ、と思っています。
例えば田部さんのことを書いていないのなら、田部さんのことを書いているのかも、とか思われるような書き方は回避すべきですよね。で、田部さんだけじゃなくて、本来自分で考えている以上のスコープを持ちうるような一般化には、当然ながら慎重になるべきです。
by pooh (2008-08-09 22:35) 

技術開発者

こんにちは、皆さん。

 相変わらずの「人間の基本仕様論」ですが、まず「どうにも変えることができない基本仕様」があり、「とはいえ、放っておく訳にはいかないから」と、取り扱いのマニアルができるという観点から見ると、多くの場合批判は「マニアルに従わないこと」に対する批判であって、「基本仕様を持っていること」に対する批判ではない訳です。ところが、この仕様とマニアルという考え方がきちんとできないと、「基本仕様を持っていることを批判されている」としか思えなくて、「止めておけ」みたいに成るのかも知れません。たとえ話としては「自動車は急に止まれない」なんてのが基本仕様です。それに対して、「見通しの悪い道では速度を落として走れ」が取り扱いマニアルですね。でもって、生活道路でスピードを出して、家から飛び出した幼児を跳ねた場合に、「もっと、速度を落として走っていれば事故にならなかったのに」なんていうのが、マニアル違反に対する批判なんですね。でもって、これを「マニアル違反にたいする批判」だと思えばなんの違和感も無いのだけど、「車は急に止まれない」に対する批判、つまり「急に止まれないなんて欠陥品だ」と言っていると取るなら、「そんな批判には価値がない」となるわけです。

なんていうか、何度も書いているように「いい加減な事を言いふらす者が社会に発生する」というのは常の事なのかも知れません。そして、社会は「いい加減な事を言いふらしてはならない」という文化(道徳観)を育んで来たのだろうと思います。これはちょうど、「制動距離」という仕様に対して「見通しが悪ければ速度を落とせ」というマニアルがあるのと同じだろうと思います。でもって、こういう文化そのものが、「忘れられ始めている」のでは無いかと思うわけです。

by 技術開発者 (2008-08-11 09:11) 

pooh

> 技術開発者さん

うむむ。
少し前のぼくの論旨から云うと、「基本仕様」が「ひとのなかにあるもの」で、「マニュアル」が「ひととひとのあいだにあるもの」と云う捉え方にもなるのかな、と云う気がするんですが、そう云う理解でいいんでしょうかね。ちょっと違うか。
by pooh (2008-08-11 22:40) 

技術開発者

こんにちは、poohさん。

>少し前のぼくの論旨から云うと、「基本仕様」が「ひとのなかにあるもの」で、「マニュアル」が「ひととひとのあいだにあるもの」と云う捉え方にもなるのかな、

「それでいいのだ」と思います(なんだか、タモリの弔辞いらい私の周りで流行っています:笑)。まず、人は群れを作る動物であり、そして群れをつくることで個々の個体の持つ弱点をカバーして「生きのび易く」なるというシステムがあるわけです。人間の群れの他の動物の群れとの行動の違いの一つに「分け合い」なんかがありますが、これにより他の動物の群れに比べて格段に「生きのびる力」が強くなっています。でもって、そういった人間的な群れの特長を成り立たせるためには、相互利害から生まれた社会規範というのが必要になってくるわけです。怪我をして餌がとれない間に他の個体から餌を分けてもらうためには、自分も怪我をして餌がとれない個体に餌を分けなくてはならないわけですからね。

ニセ科学批判をしていて一番気になるのが、ニセ科学批判を「自然科学の議論だ」と勝手に分類することで、こういう社会規範から切り離して議論しようとしたがる人が目に付くということです。自然科学そのものは自然現象を対象とする学問であり、研究対象としては社会規範は含まれないのですが、あくまで人間の営みであり、社会規範を備えた「人間」が研究するという事がどこかで混乱している気がするわけです。

by 技術開発者 (2008-08-12 03:56) 

pooh

コメントちょっと修正します。分かりづらい。

> 技術開発者さん

おっしゃるような部分、「科学」みたいなお話をする際に(用語レベルでも)けっこう留意する必要がある部分かもしれませんね。
「自然科学」は、原則としてそこから「ひととひとのあいだにあるもの」を切り離さないと成立しないはずで。でもそれは大枠での「科学」と云う言葉の意味する要素ではなくて、人文科学や社会科学も併せて考えるとそのスコープは必ずしも「ひとのなかに(物象として)あるもの」には限定されない。
そうなってくると、思うんですけど、そのスコープそのものを(意図的であってもなくても)混同するのが、ニセ科学的思考のひとつのあらわれなのかもしれません(例えばぼくなんか、茂木健一郎にそう云うものを感じ取っているのかも)。
by pooh (2008-08-12 08:35) 

技術開発者

こんにちは、 pooh さん。

>おっしゃるような部分、「科学」みたいなお話をする際に(用語レベルでも)けっこう留意する必要がある部分かもしれませんね。

私が「ニセ科学問題」とできるだけ言わずに「ニセ科学の蔓延問題」という言い方にこだわるのは、ニセ科学の内容ではなく、そういうのが社会に広まる社会問題として考えたいという事です。社会問題ですから、法学的な解釈であったり、社会心理学的な解釈であったり、経済学的な解釈であったりとかして構わないと思います。そしてその根底に「社会規範の違反がある」という認識の共通性があるなら、「なんで批判するんだ」という批判に対する批判そのものが社会規範への無理解を示している事になるわけです。「自由な社会」というのは社会規範に関して言うとなんら言い訳にはならないわけです。自由な社会でも「人を殺しては成らない、人の物を盗んでは成らない、人を騙してはならない」といった基本社会規範は守られなくてはならないというのは当然なんです。「いい加減な事を言いふらしてはならない」というのは、この最後の「人を騙してはならない」の内側にある穏やかな社会規範の一つである訳です。

自然科学者も社会で生きている訳ですから、社会規範に従っていきます。社会規範の一つは「自分が社会規範に従うだけでなく、社会規範が守られるように努力する」という事も含まれます。つまり、社会規範が守られなくなっているのを見つけたら「社会規範が守られなくなって居るぞ、守るようにしようよ」と注意を喚起するべきだというのも社会規範だと言う事です。特急列車のレイプ事件などを見ると、この社会規範は既に失われているのかも知れないと思いますけどね。でも、せめて誰かが「ここで社会規範が守られなくなっているぞ、守られる様にしようよ」と注意を喚起したときに、それが、社会を構成する者として普通のモラルだということくらいは理解しておいすて欲しい訳です。

私は消防署員が火災報知器の設置義務づけの話をした後に、「消防署が売って歩くことはありませんから、訪問販売には気を付けてください」と付け加えることなどを例に出したりしますが、これなども「ある職業に就いているために社会規範の違反に気づきやすいので、気が付いた部分も職業とは別に社会の構成員としてモラルに基づいて注意を喚起している」事の例だと思うわけです。なぜなら、悪質な訪問販売を無くするという業務は消防署の業務ではない訳ですからね。でも、多くの人は「それは、消防署の仕事ではないのに何故やるんだ」なんて言いません。それは、社会の構成員が皆従うべきモラルの範囲の注意喚起であり、消防署員も社会の構成員の1人だから違和感かが無いわけです。どうもニセ科学の蔓延問題では、「自然科学者は社会規範の一つである「社会規範が守られなく成っている事象に気が付いたら社会に対して注意を喚起すべきだ』に従ってはならない」とお考えに成る人も多いみたいな気がする訳です。まるで、それだと自然科学者は社会の構成員では無いかの様に扱われている感じですね。

by 技術開発者 (2008-08-12 08:37) 

pooh

> 技術開発者さん

当の社会規範そのものを問う、と云うアティテュードが存在するじゃないですか。ぼくもどちらかと云うとそう云うスタンスに立つことが多いんですけど。

でもそのアティテュードって、それ自体を疑っていかないと思考の硬直化につながる気がするんです。暴走族のステレオタイプな反抗みたいな水準に留まってしまう。quine10さんがそうなのか、と云うとまぁ分からない部分もありますけど。

> 自然科学者は社会規範の一つである「社会規範が守られなく成っている事象に気が付いたら社会に対して注意を喚起すべきだ』に従ってはならない

この辺、随分前にきくちさんが悩んでましたよね。「従ってはならない」と「従わなくてはならない」の両方を同時に云われてしまうので。
by pooh (2008-08-12 21:57) 

技術開発者

こんにちは、 pooh さん。

>当の社会規範そのものを問う、と云うアティテュードが存在するじゃないですか。ぼくもどちらかと云うとそう云うスタンスに立つことが多いんですけど。

そう、社会規範の中には時として過去の経験則という証明の無いその場限りの、場合によっては過去の社会規範と大きく反したものが成立してしまうことがあるので、そこには注意が必要なんです。8月15日の前後には戦争中の日本を振り返る様な番組も数多くあったわけですが、「お国の為に死ぬのはとても良いことだ」みたいな雰囲気に社会が支配されるとき、その場における社会規範は極めて危険なものになってしまうわけです。

実のところ、日本はそういう一過性の熱病の様な社会風潮に支配されて間違った社会規範の暴走を許した(例えば家族の出征を喜ばなくてはならないといったことです)ということの反省から、「社会規範を疑う」という意識が強い半世紀を送ってきた感じがします。ところが、そういう「社会規範を疑う」という態度もまた、行きすぎると経験則のある基本的な社会規範、例えば「いい加減な事を言いふらしてはならない」といった社会規範すら守られず、また、「守ろうよ」という発言に違和感を感じたりする面も生じて来ている様に見えます。

なんというか、社会規範をきちんと「経験則証明のある公式」と成り得るものと、「社会風潮に押されて生じているもの」とに分ける力こそが大事なのかも知れません。

by 技術開発者 (2008-08-19 08:49) 

pooh

> 技術開発者さん

> 社会規範をきちんと「経験則証明のある公式」と成り得るものと、「社会風潮に押されて生じているもの」とに分ける力こそが大事なのかも知れません。

このことにはもちろん同意なんですけど、でもひどく難しいことですよね(分かってお書きなのは承知していますが)。そこをどうすれば分別できるのか、そのためにはなにを知っていて、なにを分かっている必要があるのか。

まぁぼくはここで、そのことについて延々と模索しているようなものですけれどね。
by pooh (2008-08-19 22:13) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

関連記事ほか

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。