スターズ・オン・アイス2008 in なみはやドーム

仙台ではテレビ東京がないので見られないよぉ、とか嘆いていたら、とある篤志家(^^)のおかげで見ることができた。ありがたや。

競技の緊張感も好きなんだけど、ショーもいいなぁ、と改めて実感。要素を詰め込む必要がないのでそれぞれの技をいちばん素敵に見せることのできるタイミングに配置できるし、競技のように全部見えるように煌煌とした照明が必要なわけではないから、もう「美しさ」だけに集中できる（この「美しさ」と云うのもそれなりに多義的だったりはするのだけれど）。
あ、テレビ東京さん、カメラワークもよかったです。どっかの民放みたいに肝心の足元を切ってしまうようなアングルや、意図は分かるんだけど結果として最悪のシーリングカメラの使用とかがなくて。

さて、スターズ・オン・アイスなのでスターたちが何人も見られる。アリョーシャとか有香さんとか滑ってるのを見たのはいつ以来だろう（とか云えるほど熱心な視聴者ではないけれど）。東京には（なにやってるんだろうとか思ってたけど）ジェーニャ大帝もご登場なんですねぇ。でもとりあえず、現役選手数人だけ感想を述べる。

今シーズン最初から云っているけれど、もう真央は去年の真央とは別人。少し身体の丸みが増したかな、と云う感じがする分だけ、みっしりとした表現力が乗っかって来ている。正直、去年までは「可愛い真央ちゃん」を強調したような振り付けがまだ残っていて（しかもそれを手旗信号系ぺきぺきムーブでこなしていたりして）、見る側としては食傷のあまりそれだけでもう引き算が生じていたんだけれど、もう全然違う。
これは一視聴者であるところのぼくとしては喜ばしいことではあるんだけれど、でも選手としては微妙なステージに入ったんだろうなぁ、とも思える。身体が「女の子」から「女性」になるタイミングで、跳べていたジャンプが跳べなくなったり、バランスが崩れたりして脱皮できない選手もいるわけなので。でも彼女については、そんな段階もほとんど影響せずにかろやかに飛び越えていってくれるような気もしないではない。

そう云う話をすると小塚くんはまだ幼く見えるなぁ。路線としては本田武史的「漢の滑り」なんだろうけど、だとすれば足りないのは年齢でもあるんだろうし、馬力でもあるのかも。と云うことはとりあえずもう少し待ってみればいいのか。
その辺りからするともう大輔は余裕の固まり。ひとつの音も聞き逃さないで動きに繋げるムーヴ。この辺り、根底にあるのは耳の良さとスタミナなんだろうな。

安藤美姫は、えぇと、もうなんと云うのか。
今年のぼくは明らかに公平ではないのでつれあいの言を借りると、「彼女にしか滑れないプログラム」を滑ってくれた。個性、と云う陳腐な云い方がふさわしいかどうか分からないけれど、彼女の魅力は（単に楽しく見ているだけのぼくなんかからすると）ほかの誰にも似ていない。脆弱な強靭さと云うか、蠱惑的な純粋さと云うか、そう云う矛盾したものがその滑りにはあって、混乱する。でもまぁ、このプログラムもぼくからするとカルメンだった。空想のなかにしかいない種類の、ファム・ファタル。
とりあえず、好調なようでなにより。好調なときの彼女は小憎らしいくらい素の才能を全開にした滑りを見せてくれる。

とまぁそれはそれとして、サーシャの胸の谷間が登場したかわりにウエストがなくなったのを見逃さないうちのつれあいなのだった（と他人のせいにしてみる）。

タグ：フィギュアスケート

コメント 14

＞poohさん

本日は日頃過剰な負担を掛けているキーボードの分解掃除をしていましたので、今頃になってボチボチ書き込みを始めています(笑)。

スターズオンアイス、オレも観ました。事前の番宣で視たミキティの衣裳が剰りにエッチだったので、大好物の女子アナ特番を裏に廻してまで観ましたとも(笑)。オレなどはスポーツに対する批評眼や知識がまったくないので、そういう俗流の興味でしか観ていませんが、真剣勝負の試合だと少しは競技を視る目があったほうが楽しめるのかな、とpoohさんの記事を拝見していつも思っています。

その点、こういうショーの形だと、素直に「綺麗だなぁ」とか「可愛いなぁ」とか「セクシーだなぁ」と思って口を開けて観ていれば好いので気楽に楽しめますね。って、一応男子選手も滑ってるんですが全然目に入ってないってことですね(笑)。

そういう俗流な興味でしか観ていない不純なファンですが、割合フィギュアスケートの大会は毎回観ているので、poohさんの記事を結構楽しみにしています。今回のショーも、poohさんの解説を元に、もう一回各選手の演技を見直したいと思います。
by 黒猫亭 (2008-01-22 23:22) 

＞ 黒猫亭さん

いや、ぼくも基本的にはあまりスタンスは変わらないですよ。
ただ、家庭内にマニアがいるので、そう云う視点も獲得できる、と云う程度のもので。基本はやっぱり闘いである、みたいな。

いまの男子はちょっと前に較べると面白くないかも、です。ただ、旧採点では大輔みたいな選手はいまのポジションにいられないかもしれない。大輔のナチュラルホスト顔もそこそこ見ものだと思うんですが。

> 事前の番宣で視たミキティの衣裳が剰りにエッチだったので

でもですね。日頃のコスチュームに較べると、実は露出はたいしたことないと思うんですよ。それをえっちに見せているのはなんなのか、みたいな。
正直ぼくの助平心は安藤選手のルックスにはほとんど惹かれないんですが、それでもその演技を見ているときに脳髄から下半身まで直結で流れていく感覚はなんなんだろう、と思うんです。このあたり、どちらかと云うとぼくは黒猫亭さんの筆で読みたい(^^;。
by pooh (2008-01-23 07:47) 

よござんす、そこまで仰るのであれば、このオレが汚れ役を買って出てミキティのエッチの何たるかについて語りましょう(笑)。時々ユルいネタを入れないと、識らない人はオレのことを真面目な人だと勘違いするらしいので、好い息抜きになりますし(笑)。
by 黒猫亭 (2008-01-24 00:36) 

> 黒猫亭さん

お待ちしています。
と云うか、安藤さんが「今年はセクシィに」と云うテーマを掲げたとき、そこには一般で受け止められがちな意味合いよりもずっと深いものがあったように感じたりしていたので。

ちなみに潜在的なえっち要素がいちばん豊富なのは中野さんだと思ってるんですが、これはぼくの助平心がマニエリスム化してるからかも知れない。
by pooh (2008-01-24 07:45) 

こんばんは。

うちの方でもテレビ東京は見られないのでしたorz
Sexyな安藤さんを見たかったのですが、残念です。
まあ、まだシーズンは終わっていないので、次に期待します。
by PseuDoctor (2008-01-24 22:52) 

> PseuDoctorさん

でもこれ、エキシビジョンナンバーなんですよ。
エキシビジョンに出られるだけの成績を、これから期待したいところですよね。
by pooh (2008-01-24 23:40) 

こんばんは。

＞でもこれ、エキシビジョンナンバーなんですよ。
ああぁ、そうなんですか。それはまた、競技とは違う味わいがあったことでしょう。
では最悪の場合、もう二度と見られないという可能性もありますね。ということで、

＞エキシビジョンに出られるだけの成績を、これから期待したいところですよね。
に完全に同意します。おそらく、大丈夫だと思います。思いたいですね。
by PseuDoctor (2008-01-26 22:43) 

> PseuDoctorさん

お分かりいただけると思いますが、そう云うわけで実は「勝敗のないエキシビジョンに『勝負師』安藤美姫がなんと本気で取り組んでいる」と云うのがいちばん凄いことだったりします。
by pooh (2008-01-27 09:15) 

＞poohさん

>>「勝敗のないエキシビジョンに『勝負師』安藤美姫がなんと本気で取り組んでいる」

オレの印象では、安藤美姫という選手はメンタルの部分で妙に脆いところを抱えていて、それが思わしく勝てない原因じゃないかと思っているんですが、その辺どうなんですかね？　スポーツ選手一般がそうですけど、思春期前は天与の才能で注目された選手が、大人になって知恵が附くに従って世間のプレッシャーや悪意を識り、メンタル面で問題を抱えるようになる。ある意味、安藤美姫というのはアイドル的に注目されただけにそういうプロセスで辛酸を嘗めた選手じゃないかな、と。

その点、同じように小さな頃から注目と期待を掛けられたアイドル的存在である浅田真央が未だに少女的な無垢さを喪わず、世間的なプレッシャーや悪意のようなものから超越したポジションにいて、妙にメンタルが強い印象があるのが何とも対照的に感じるんですが。

この辺、ちょっとそちらのご家内のお詳しい人なんかのご意見なんかも交えて伺えたら参考になるんですが(笑)。
by 黒猫亭 (2008-01-27 15:45) 

> 黒猫亭さん

ぼくはおっしゃる通りだと思います。ファンを自認されているPseuDoctorさんのご意見は分かりませんが。

ただ（非常に微妙な話ですが）彼女は「勝てて来た」訳ではなくて、自覚的に闘い、「勝って来た」選手なんだと思うんですよ。とんでもない才能の持ち主ですが、その才能で比較的幼いときから勝とうとして勝って来た、ある意味選手としてはナチュラルに闘士型のキャラクターで。変な話、あのアイドル視はだから本人にもよく理解できなくて、だから精神的ギャップがひどかったのではないかと。つれあいにも聴いてみますが。

真央はその辺り、「勝てて来た」選手です。なので今、多分はじめて「勝てない」ケースにぶつかってとまどっている、とかそう云うステージにいるのではないかと（どんだけの才能なんだ、と云う気もしますが）。
でも彼女の闘志はどうも内側に向かう傾向がある気がします。強烈な完璧主義者だと思うんですが、それはどうも競うためのものではないような。そう云う辺り、外乱にメンタルが惑わされない傾向に現れているのではないかと（ただ逆に、自分の思いもよらない失敗をしたときには、そのリカバリと云う点で意外なほど脆さを見せる場合が多いようにも思います。多分これは「対自分」と云う方向に意識が向いているからかな、なんて推測します）。

この辺り、スケートと云う競技は内面が出るのかなぁ、とか感じます。正直真央の演技はどれだけ綺麗でも、安藤美姫や（例えば）サーシャのようにある意味メンタル的に脆さを抱えた選手の演技にある「生き様が滑りだ！」的に生々しく訴えてくるものをぼくは感じなかったりします。もっとも、そう云うものばかりが表現されるべきものではないですけどね。
内面、と云う話で云えば、「超変人」荒川静香の滑りも浮世離れしていて、その辺り実は真央と似ていたのかも、と云う気がします。
by pooh (2008-01-27 16:11) 

こんばんは。

うーん、流石ですねお二人とも。「安藤美姫のメンタル」に関しては私も同意します。といっても単なるミーハーファンでしかない私の意見には大した重みもありませんが。

この辺の事に関しては、去年Poohさんのところにコメントを書かせて頂いた気がします。ええと、確か、
http://blog.so-net.ne.jp/schutsengel/2007-12-02
ですね。もし宜しければ黒猫亭さんもご覧になってみてください（既読でしたらご容赦ください）。
by PseuDoctor (2008-01-27 22:19) 

皆さん、こんばんわ。

ああ、すでにガイシュツな話題でしたか(笑)。そこまでチェックしていませんでした。元エントリーに関しては「安藤美姫の顔」という観点はたしかにその通りで、内容のひどい試合は大概口を半開きにして不安そうな顔してるんですよねぇ。

オレは昨日今日のニワカなので、安藤美姫を初めて認識したのはトリビアの「フィギュアスケート選手は何回回転すれば目を回すか」という種実験で視たときなんですが、そのときはまだ世間を識らずにあどけない有望選手として伸してる最中だったので、現在視るようなメンタルの脆さは感じなかったですね。「絶対満開とってやる」とか言っていて、別段種としての評価はあんまり被験者の努力と関係ないんだがなぁと思っていたんですが、際限なく回転出来るのでドクターストップが懸かって結局満開とっちゃいましたね。

まあ、あの時から「負けず嫌いな子」という印象はありましたが、それが辛い時期を経て「勝負師」になったということですかね。ちょっと下司な想像ですが、真央が何となく男っ気が感じられないのに比べて、安藤美姫は美人ではないけど男好きしそうなルックスですので、女性性の違いという要素もあるのかな、表に出ないような裏面の個人史というのも関係あるのかな、と漠然と考えています。
by 黒猫亭 (2008-01-28 03:40) 

> PseuDoctorさん

あ、いや、ぼくもただのミーハーには違いがないですよ。
ただ、読みに来てくださる方々のためにちょいとあれこれ思索をめぐらせて見ているだけで。
by pooh (2008-01-28 07:41) 

> 黒猫亭さん

ただどうもぼくは彼女のそう云う（通常は問題視すべき）メンタルの部分も含めて彼女に魅力を感じているみたいで（われながらどんだけ助平なんだ、って気もしますが）。で、実はこれって「競技」と云うことを背景に敷かないと成立しなかったりして。

裏面の個人史、と云うのは当然存在しているし、影響していると思います。そこを斟酌するのがぼくの任か、と云うとどうかな、と思っていますが。
by pooh (2008-01-28 07:47)