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医療の責任 [世間]

実はここからkikulogに言及するのは珍しいのだけれど、昨日に続いて漢方薬にトラックバック。阪大はじめいくつかの大学が協力して漢方薬の作用機序の研究に乗り出す、と云うニュースについてのエントリだ。

ごちゃごちゃ考えてばかりで結論の出ないエントリが多いここには珍しく、ぼくは代替医療の問題については割合整理された理解ができている。それはNATROMさんmedtoolzさんosakaecoさんに多大なる示唆をいただけたおかげなのだけれど。

医療は純粋な意味での科学ではなくて。それはなによりも実効性を第一とするものだから、純粋な自然科学的裏付けがなくても効果のある治療が一番偉い。そう云う意味で東洋医学(中医学とか日本の漢方とか韓国の韓方とか)は「我々には4000年の人体実験の歴史があるッ!」とか云う感じでまぁ、チャンピオンだ。それがすべて(作用機序的に)有効なものでなくても、直して来た、と云う歴史だけで価値がある。ホメオパシーなんかと同列に扱われるようなことがあったら、「君らのいる場所は我々はすでに三千年以上前に通過しているッ!」とか云う感じで一蹴できるくらいの。

とは云え、ある医学行為をオーソライズできるのは自然科学的な根拠だけで。それがないと、ある医療行為を選択する、と云う場合にそのことの妥当性を担保するものがなくなる。責任を負うために(そして責任の範囲を定めるために)、自然科学的なエビデンスは必要になるのだ。

もちろんそのことに対して真摯なアプローチをされている方はいらっしゃる。こちらのコメント欄にもいらっしゃったことのある魚類桃屋さんのエントリに言及して、そのことはここでも書いた

世の中には「漢方薬はメカニズムがわからないからニセ科学だ」などと言う人もいるようです。僕たちはそのような立場に与しません。薬が効くか効かないかは、臨床的に研究すればよいのです。臨床データによって「効く」ことが立証されているなら、メカニズムがわからなくても問題はありません。それは科学的になんの問題もない手続きです。もちろん、メカニズムがわかるに越したことはありませんが、「科学的」であるための必要条件ではありません。逆に、いかにメカニズムがあろうと、臨床試験を経ないものは薬として認められないのです。

この記述は、ぼくらが「ニセ科学」と呼ぶものについて本当はどの部分を問題にしているのか、と云うことについて、逆説的に重要な示唆が結構濃縮されていると思う。
本当に、研究がみのりあるものになってほしいなぁ、と思う。


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