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問題の本質 [世間]

あちこちで前野昌弘さんmeets水伝授業が話題になっている。その前野さんの日記に言及した、SIGNAL-9さんの平然と行われる『差別教育』と云うエントリを読んだ。

 そもそもこの話、本質的に、『道徳』の名を借りた『差別教育』なのではないだろうか。少なくとも、容易にその暗黒面に落ち込む危険性を持っていると思う。

 なぜなら、モノゴトの判断基準を『キレイ』だの『キタナイ』だのに置いているところがそもそも差別性を内包しているからだ。

 この『説』の言ってることは『美人だとキレイな水の結晶で、ブスだと汚い結晶』ということと同質である。
 いや、もっと極端に言えば『アーリア人だとキレイな結晶で、ユダヤ人だと汚い結晶。だからユダヤ人は排除するべきだ』というのと同じ『道徳』なのである。

 この手の『道徳』が、絶対に後悔する様なロクでもない『結果』しかもたらさなかったのは歴史の中で繰り返し証明されてきたことではないのか。

基本的に同感です。と云うか、どうも科学と道徳をストレートに結びつけよう、と云う発想には、そう云う臭いが拭い難くつきまとう。

でも、江本勝の言説の背景にあるそう云う臭いが、昨今の「開戦前夜」的な世情と相俟ってウケているのかもなぁ、なんて思ったり。そんなふうに考えると、とても嫌な気分になるけれど。


タグ:ニセ科学
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コメント 4

きくち

だからさ、何度も書いているように、「科学で裏付けようとする」と自動的に不寛容になるわけですよ。科学法則というのは寛容とは対極にあるからね。
 
嫌なのは、その「不寛容さ」に気づかないってことだよね。
「水伝」問題では、「科学的に誤っている」ことは本質のごく一部でしかない、とずっと言い続けているけど、あまり理解してもらえない気がする。
「科学的側面」は「おかしい、以上」で終わりなわけで、むしろ、なぜ「水伝」を受け入れる人があとを絶たないかのほうが問題ですよ。
by きくち (2007-06-21 08:52) 

内海

水伝を受け入れる人達にとっては、その不寛容さは揺るぎのない正しさに見えるので魅力的なんでしょう。
彼等は今の世の中が基本的に間違っていて、悪い方向に向かっていると考えていて、それを正そうとする自分達の行為を「善」だと判断してくれる何かの精神的支柱やバックボーンが欲しいのだと思います。
あと個人的には、最近の世論やマスコミ報道などを見ていると、もの凄い「被害者意識」が一般人に浸透しているような気がします。
「自分達を何処かの誰かが食い物にしようとしている」とか「自分達の知らないところで悪事が行われている」というイメージの。

最近のニュースでいえば「介護保険料を不当に懐に入れるコムソン」だとか「年金を国民からかすめ取る社会保険庁」だとか。
タミフルの時は製薬会社と厚労省でしたけど、こうした世論や報道って毎回叩く対象が変わるだけで(官僚みたいな定番の批判対象もありますが)、批判の構造もロジックもほとんど一緒。
「Xという事件や不祥事が起こった、黒幕(犯人)はYだ、こんな奴らを許すな」という命題のXやYに次々何かを当てはめていくだけ。
こうした典型的な二分法で押し切ってくる彼等が、水伝を受け入れる社会の空気を作っていると私は考えていて、彼等のこうした振る舞いをどうやって止めるのかが(説得は困難だと思うので)、これからの私達の課題になると考えます。
ただ、こうした人達は、よくきくちさんが仰っている「善意で動いている人」とはタイプの違う、扱いの難しい人達ではあるんですよねf^_^;
自分達の素朴な感情論から導き出した考えが、絶対的に正しいんだみたいな論理を振りかざしてくる人達ですし、こうした人達が「朝ズバッ!」のみのもんたの言動を自分で分析もせずに支持したり、BSE問題の時にリスクとベネフィットも考えずに一切牛肉を買わなくなったり、コムソン問題で「介護事業は儲けを求めてはいけない」という資本主義完全無視の暴論を平気で言うジャーナリストをTVに出させ続ける世論の(おそらくは)中核だもんなあ
by 内海 (2007-06-21 12:11) 

pooh

> きくちさん

> 科学法則というのは寛容とは対極にあるからね。

うん、ここ大事。試験に出る。
と云うか、「科学的である」と名乗った瞬間に、人文系的なゆるさは放棄したもの、と云うことになってしまうんだよね。
どうしてそのことに気付かないんだろう。
by pooh (2007-06-21 22:05) 

pooh

> 内海さん

なんかですねぇ。あんまり自分は幸せじゃない気がするけどどうすれば幸せになるのか分からない、ここは超自然の力(スピリチュアルの力でもいいや)で一発逆転! みたいな発想がほの見える気がします。背景にある心理は、おっしゃるような陰謀説を希求する心情と重なる部分があるのかも、ですね。
by pooh (2007-06-21 22:10) 

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