唯幻論 [余談]
とまぁ、前のエントリで触れたfuku33さんのエントリには、「唯幻価値論」と云う用語が使われている訳だけれど。きっとこれは岸田秀を踏まえた用語なんだろうな、と思う。この歳になったいまなら、岸田秀も読めるだろうか。
ものぐさ精神分析を読んだのは多分高校生の頃。読んだ理由と云うのも覚えていて、桃尻娘の玲奈ちゃんが読んでいたからだ、と思う。
でも読んで、ひどく不愉快になった。何が唯幻論だ、と思った。
そんなことは誰でも知っていて、でもみんな黙っていて、前提として理解したうえで頑張ってるはずなのに、とか思った。なんか、「王様は裸だ!」とか云っていい気になっているこどもを見ている気がした。そんな台詞誰でも云えるのに、みんな黙ってるんだよ、みたいに。
で、その後、この本を読んで「目から鱗が落ちた」みたいなことを感じているひとがたくさんいることを知ってひどく驚いた記憶がある。
当時高校生だった自分が、どうして最初からそんなふうに感じたのか、ちょっと興味深く思い出した。
岸田さんの唯幻論は、「王様は裸だ」となかなか思えないばかりに自分で自分の気持ちを苦しめてしまっているような状態のときには、すごく有難いと思うんですね。それとやはり、商品企画系で「既存の価値観の相対化・発想の転換」みたいな状況にも応用がきくと自分で思えたことは、ラグジャリーの研究にとっては非常に精神的にもありがたいことでした。
by fuku33 (2007-04-23 18:26)
> fuku33さん
あ、いや、これってとっても個人的なエントリだったんです。
どうして若い頃のぼくが岸田秀の著書にあれほどまでの反発を感じたのかいま考えるとさっぱり分からなくて、なんかとても不思議だったりするんですよ。で、その反発のせいで全然ちゃんと読まずに来たので、なにか大きな見落としがあったりして損をしてるのかもなぁ、みたいな。
by pooh (2007-04-23 21:41)