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You may say (「憲法九条を世界遺産に」太田 光, 中沢 新一) [ひと/本]

憲法九条を世界遺産に

憲法九条を世界遺産に

  • 作者: 太田 光, 中沢 新一
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2006/08/12
  • メディア: 新書


中沢新一も太田光も、基本的に信用している。
逆説的だけれども、それは、このふたりについてどこまで信用していいか、がぼくにとって程度問題としてなんとなく掴めるから。なぜか。このふたりが自分の限界についてミスティフィカシオンを行ってこなかったからだ。

このふたりの書くものについては、「あぁ、この部分はちゃんと考えていないな」という部分がはっきりと透けて見える(特に中沢さんはそうだ。このひとの書くものはいい加減なときは徹底的にいい加減で、やれやれまただよ、とか感じることが結構ある)。だから、そうじゃない部分も分かる。

この本もそうだ。
議論があちこちで噛み合わない。噛み合わないところは、噛み合わないままだ。でも、そこで整合性をとるために暴走する思考の勢いを撓めることはしない。真摯さだけは間違いなくそこにあるから、読む側としても(田中裕二よろしく)つっこみでも入れながら会話の内容を追い続ける。そこにちりばめられた断片を、見落とすのはもったいない。それが断片以上のものでなかったとしても、それは幾つものより大きな思考へのパスとなりうる。

この憲法をもとに実際に積み重ねられて来た数十年(のそれなりの重み)を、どう捉えるか。

青臭い思考を「青臭い」と云ってあざ笑う人間のことを、「汚いおとな」と呼ぶ。
その人間の実年齢が幾つだったとしても。

権力を通じて「美しい国」とやらをつくろうとする発想よりも、積み重ねられたラディカルさの系譜に連なろうと云う考え方の方が、とりあえずぼくには肌に合う。
たとえ夢想家と呼ばれたとしても、その試みに与したい。


タグ:書評
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